(上・下) 本品の使用例


   


































ベル・エポックのフランス クリスタル・ガラスのアンティーク・ヴィトリン 陳列展示用小箱 88 x 63 x 57 mm


正面の幅 88ミリメートル  奥行 63ミリメートル  高さ 57ミリメートル

重量 約 200グラム


フランス  十九世紀後半から二十世紀初頭



 十九世紀後半頃のフランスで制作されたヴィトリン。フランス語「ヴィトリン」(仏 vitrine)は「ヴィトル」(vitre ガラス)が語源で、ガラス張りで中身が見える箱を指します。店舗のショウ・ウィンドウや大型の陳列ケースもヴィトリンですが、本品のような小箱もヴィトリンと呼ばれます。





 本品のガラスは大量の鉛を含むクリスタル・ガラスで、厚さは十一ミリメートルないし十一・五ミリメートルです。商品写真ではガラスが少し曇っているようにも見えますが、実物はまったくクリアです。

 五枚のガラスは側面から見ると台形になるように、斜めに大きく面取りされています。本品のガラスをカットした職人は、ガラスの元の平面と斜めの面が形成する稜線部分も、すべて丁寧に面取りしています。このように手間を惜しまない作業により、将来起こりうる破損をできるだけ軽減する配慮が為されています。





 クリスタル・ガラスは軟らかくカットを施し易い反面、瑕(きず)も付き易いですが、本品のガラスはたいへんきれいな状態です。カットの稜線部分のところどころに、写真では判別できない小ささのフリーバイト(英 flea bites 「蚤の齧り跡」 微小な欠損)がありますが、どのガラスも割れておらず、大きな断口もありません。特筆すべき問題は何もありません。





 ヴィトリンの脚、及びガラスを留める枠はブロンズ製で、バロック様式あるいはロココ様式による繊細な文様が打ち出され、金めっきが施されています。突出部分に見られる金めっきの剥がれが、古美術品ならではの美しい古色となっています。五枚のガラスは多数の爪によってしっかりと枠に留められています。爪の幅は一ミリメートル強しかありませんが、多数の爪にも欠損はなく、すべて揃っています。





 蓋の正面には留め金が溶接されています。留め金に歪みや緩みはなく、適度な強さで「パチン」としっかり閉まります。





 開口部のサイズは、六十七ミリメートル×四十一ミリメートルです。内部の深さは約三十五ミリメートルですが、底面にクッションがあって中央が盛り上がっていますので、クッションの最上部から蓋までの距離は二十八ミリメートルほどになります。





 商品写真ではクッションの色を正確に再現できませんが、ごく淡い緑色の絹が張られています。アンティーク・ヴィトリンの内側底面に張られた布は、たいていの場合、原形をとどめないほどに裂けています。しかるに本品の絹布は、極めて良好な保存状態です。経糸(たていと)あるいは緯糸(よこいと)が擦り切れた部分はありますが、本来の状態を十分に留めています。





 アンティーク・ヴィトリンの用途に、決まりはありません。十九世紀のフランスにおいて、本品のようなヴィトリンは、品物の種類を問わず、大切な物を入れる「宝箱」として使われました。宝石やジュエリーを入れることもありましたし、思い出の品を入れることもありました。女性用の小さな懐中時計を入れることもできますし、信仰深い人であればロザリオなども入れたでしょう。

 上の写真では、本品に聖母マリアのペンダント、猫のカメオを使った指輪、女性用懐中時計を入れています。





 本品は百数十年前、ベル・エポック期のフランスで制作された真正のアンティーク品です。古い品物ですが、保存状態は極めて良好で、特筆すべき問題は何もありません。上の写真では、本品を男性店主の手に載せています。女性が実物をご覧になれば、写真に比べて一回り大きなサイズに感じられます。





58,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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