アンティーク版画 《ピグマリオーン》 愛と生命の火を掲げるエロース 細密エッチングによるマニエリスティックな作例 67 x 96 mm

Pygmalion


画面サイズ  縦 96 mm  横 67 mm



 古代ローマの詩人オウィディウスはギリシア・ローマ神話を題材にした数々の変身物語を集めて、「メタモルフォーセース」("METAMORPHOSES")という長大な詩集を著しました。「メタモルフォーセース」第十巻はオルフェウスの詩がその内容となっており、同巻第 243行から 297行ではピグマリオーンの物語が謳われています。


  人間の女を厭い、長年に亙って独身を通していたキプロスの男ピグマリオーンは、真っ白な象牙で美しい女性像を作り、自作の像を人間の女性の代わりに愛するようになりました。像は象牙に過ぎないので、ピグマリオーンがいくら可愛がっても愛が返ってくることはありません。それでもピグマリオーンは象牙の乙女に接吻し、話し掛け、愛らしさを誉め、若い女が喜ぶような物を贈り、像に添い寝をしていました。

 キプロスで最も人出が多いウェヌスの祭礼の日、ピグマリオーンは女神の祭壇において、象牙の乙女に似た妻を与えてくれるように祈りました。しかしながら象牙の乙女を妻に迎えたいのがピグマリオーンの本心でした。ピグマリオーンの心を察したウェヌスは祈りに応えて、象牙の乙女に生命を与え給いました。思いがけない出来事に驚愕するピグマリオーンは、狂喜しつつウェヌスに感謝し、人間の女となった象牙の乙女を妻に迎えました。およそ十か月後、ふたりの間には娘が誕生しました。





 本品は十九世紀の逸名版画家による細密インタリオで、キプロスの彫刻師ピグマリオーンと、人間の娘に変身した象牙の乙女を刻んでいます。版画の情景は乙女が人間に変身する瞬間を描いたもので、ピグマリオーンは乙女に触れて肌の軟らかさを確かめています。人間となった乙女は右腕を伸ばしてピグマリオーンに触れつつ、恋人の顔を見て微笑んでいます。





 本品は宮殿風の立派な建物の内部が舞台となっており、ピグマリオーンと乙女の他に、ふたりのエロース(アモル、愛神)が描かれています。手前右の床には怪物像の付いた脚付きの大杯と、カリパス、鏨(たがね)、槌があり、これらは彫刻師の仕事を象徴しています。

 生命を得た乙女の背後で中空を飛ぶエロースは、火が燃える松明を掲げています。火はエロース地震と同様に愛を象徴し、同時に生命をも象徴します。エロースが火の消えた松明を持っている場合、それはタナトス(希 θάνατο 死)を意味します。しかるに本品のエロースは燃え盛る松明を持っていますから、これは像に与えられた生命を象徴します。





 上の写真は本品の拡大で、定規のひと目盛りは一ミリメートルです。本品はオー・フォルト(エッチング)を多用していますが、一ミリメートルあたり三本ないし五本の溝を刻む細密性を有し、エングレーヴィングに勝るとも劣らない精緻な作品に仕上がっています。





 乙女の眼差しは羞じらいを含みつつ、それ以上に愛情に満たされてピグマリオーンを見つめています。自分の体に触れて喜ぶ恋人の姿に、乙女の口元は綻(ほころ)んでいます。





 当店の版画は未額装のシートとしてお買い上げいただくことも可能ですが、当店では無酸のマットと無酸の挿間紙を使用し、美術館水準の保存額装を提供しています。上に示した二枚の写真は額装例で、外寸 26 x 32センチメートルの木製額に、緑色ヴェルヴェットを張った無酸マットを使用しています。この額装代金は 15,800円です。

 額の色やデザインを変更したり、マットを替えたりすることも可能です。無酸マットに張るヴェルヴェットは赤、緑、ベージュ等に変更できますし、ヴェルヴェットを張らずに白や各色の無酸カラー・マットを使うこともできます。


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 お支払い方法は、現金一括払い、現金分割払い(二回、五回、十回など。利息手数料なし)、ご来店時のクレジットカード払いがご利用いただけます。遠慮なくお問い合わせください。





33,000円 税込み、額装別

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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