知恵の座 上智の座の聖母
SEDES SAPIENTIAE
(上) ラファエロ 「小椅子の聖母」 900シルバー製 手彫りのメダイ 24.5 x 15.4 mm イタリア 1930年代
当店の商品です。
ネオカイサレアの司教、聖グレゴリウス・タウマトゥルグス (Γρηγόριος ὁ Θαυματουργός, Γρηγόριος Νεοκαισαρείας St.
Gregory Thaumaturgus of Neocaesarea, c. 213 - c. 270) は、聖母を「まことの
ケルビム(智天使)の座」(*) と呼びました。またオリンポスの司教、聖メトディウス (Μεθόδιος Όλύμπου St. Methodius of Olympus,
d. 311) は、聖母を幼子イエズスの「おとめなる玉座」と呼びました。一方、キリストは「箴言」8章から9章にかけて「知恵」そのものとして表されています。
* 参考 詩篇80篇2節 (新共同訳)
イスラエルを養う方
ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ
御耳を傾けてください。
ケルビムの上に座し、顕現してください。
15世紀になると、知恵の象徴である書物を手にした幼子イエズスが聖母の膝の上に座る図像が多く見られるようになります。
(下) Henri Bellechose (fl. 1415),
La Vierge à l'écritoire
下の絵はフィリッポ・リッピによるテンペラ板絵で、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されています。聖母子の右後ろ(向かって左後ろ)にいる天使は、ヴルガタ訳「集会書」二十四章二十六節の聖句「われを欲する汝等は皆、われに来(きた)りて、われの産み出すものにて満たされよ」
(VENITE AD ME OMNES QUI CONCUPISCITIS ME ET A GENERATIONIBUS MEIS IMPLEMINI)
を手にしています。集会書24章の「我」とは「知恵」(SAPIENTIA) すなわちイエズスのことであり、この作品において聖母は知恵の座として表現されています。なお新共同訳聖書において、この箇所は「シラ書」二十四章十九節に当たります。
「集会書」(シラ書)二十四章は、《知恵》(羅 SAPIENTIA)による自身への讃歌となっています。しかるに「集会書」のキリスト教的解釈によると、この《知恵》とはイエス・キリストのことに他なりません。それゆえフラ・フィリッポ・リッピの上掲の作品において、聖母は膝にイエスを乗せてイエスの座となっているゆえに、「上智の座」(羅
SEDES SAPIENTIAE)であると言うことができます。
(下) Fra Filippo Lippi (1406 - 1469),
Madonna and Child Enthroned with Two Angels, 1437, tempera and gold on wood, Metropolitan Museum of Art, New York
ECCLESIASTICUS 24:26 "VENITE AD ME OMNES QUI CONCUPISCITIS ME ET
A GENERATION(IBUS MEIS IMPLEMINI)"
フィリッポ・リッピはこの絵において、イエスを聖母の赤い衣の上ではなく、青いマントの上に置いています。聖母は青いマントの下に赤い衣を着ているのですから、膝を覆うのも赤い衣であるはずです。それにもかかわらずフィリッポ・リッピが聖母の膝を青いマントで覆ったのは、
青がケルビム(智天使)の色であるからです。「詩編」十八編十一節等によると、
ケルビムは地上における神の座です。それゆえ上の絵において幼子イエスが聖母の膝で青いマントの上に抱かれている様子は、イエスが神であることを表すとともに、聖母が「まことのケルビムの座」(ケルビムに喩えられる神の座)、すなわち「上智の座」であることを示しています。
イエズス会が東京の四谷に設置している上智大学は、イエズス大学という意味です。上智大学に行くと、セーデース・サピエンティアエ(羅 SEDES
SAPIENTIAE 上智の座)と書かれているのを見かけます。真に学ぶべき究極の智恵はイエスによる救いの智恵、すなわちイエスご自身(上智)であり、それを学ぶ座(場所)が上智大学であるわけです。上智大学は聖母マリアに捧げられた大学であり、聖母マリアの膝と一つになって、上智なるイエスの座になっています。
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