永遠の生命を象徴する常緑の植物、キヅタ(木蔦)の葉を模(かたど)った美しいアンティーク・メダイ。
蔦の葉の中央部に小さな円形メダイを貼り付け、天使にかしずかれるリヨンの聖母「ノートル=ダム・ド・フルヴィエール」(Notre-Dame de Fourvière) を浮き彫りにしています。蔦の葉形の金属板は三枚をハトメ(鳩目)で留めてあり、扇のように広げると、真ん中の金属板に次のフランス語が刻まれています。
Notre-Dame de Fourvière, souvenir ノートル=ダム・ド・フルヴィエール、巡礼記念
「ノートル=ダム・ド・フルヴィエール」はロマネスク期の彫刻であり、バロック彫刻のように聖母子が互いに見つめ合うのではなく、ふたりとも正面を向いて、礼拝者を直視しています。これはすなわち聖母が人々に対し、幼子イエズス・キリストこそが永遠の生命に至る道であることを示しているのです。したがって永遠の生命を象徴する蔦の葉は、ロマネスク様式の聖像であるノートル=ダム・ド・フルヴィエールを飾るのに、いかにもふさわしいモティーフといえます。
太陽に向かって伸びてゆくキヅタは、神を愛し求める魂の象徴でもあります。ノートル=ダム・ド・フルヴィエールの像には、聖母、幼子とも聖心を首から掛けていますが、キヅタのモティーフはこの聖心に象徴される愛、とりわけ神を愛する聖母の「汚れ無き御心」を象徴していると解することができます。
本品の材質はブロンズに銀めっきを施したものです。おそらく百年以上前に制作された真正のアンティーク品であるにもかかわらず、年代に不釣り合いなほど良好な保存状態です。突出部分である円形メダイは、表面の一部に銀めっきの剥がれがある程度で、細部までよく残っています。蔦の葉は制作当時のままのコンディションです。ハトメ部分にも問題はありません。打ち出し細工であるゆえに、大きな面積と優れた立体感にもかかわらず軽量で、ペンダントとして愛用するには理想的です。