一方の面にはリヨンのバシリカ「ノートル=ダム・ド・フルヴィエール」(Basilique de Notre-Dame de Fourvière) 、及びリヨンを象徴するライオンを、もう一方の面にはバシリカに安置されている同名の聖母子像を、それぞれ浮き彫りにしたメダイ。
片方の面では聖母子が向かい合う者を直視して立ち、救いに至る唯一の道、幼子イエズスを見る者に示すかのように、聖母は幼子を体の前に抱いています。これは道を示す聖母、ギリシア語で「ホデーゲートリア」と呼ばれるタイプの図像です。メダイの縁近くにペナン
(PENIN) のサインがあります。おそらくアドルフ・ペナンでしょう。聖母子の周囲には次の言葉がフランス語で刻まれています。
Notre-Dame de Fourvière, priez pour nous. フルヴィエールの聖母よ、我らのために祈りたまえ。
もう片方の面にはノートル=ダム・ド・フルヴィエールのバシリカが浮き彫りで表されています。バシリカの向かって左、鐘楼の頂上に単身で立つ金色の聖母像も、リヨンの聖母として図像に表現されることがよくありますが、このメダイに刻まれているのは、聖堂内に安置されている古い聖母子像です。バシリカの周囲には次の言葉がフランス語で刻まれています。
Sanctuaire de Notre-Dame de Fourvière ノートル=ダム・ド・フルヴィエール(フルヴィエールの聖母)のバシリカ
フランスを代表するメダイ彫刻家の手によるだけあって、聖母子、バシリカともに申し分なく非常に美しく表現された作品です。表面の突出部分に磨耗が見られますが、細部に崩れはありません。この程度の摩耗は真正のアンティークならではの趣(おもむき)として楽しんでいただけることと思います。