数多くのロマネスク聖堂が残るオーヴェルニュにあって、最も美しい聖堂の一つ、オルシヴァルのノートル=ダム・ドルシヴァルのバシリカに安置される聖母の戴冠記念メダイ。ノートル=ダム・ドルシヴァルはクルミ材に銀をかぶせた木身像で、現在も崇敬を受けるこの種の聖母像としては、オーヴェルニュにおける唯一の例となっています。
メダイの片面には戴冠した栄光の聖母子像、ノートル=ダム・ドルシヴァルが浮き彫りにされています。聖母は幼子イエズスを膝に乗せ、本を開かせています。この像において幼子イエズスは知恵そのものであり、聖母は「知恵の座」として表されています。聖母子の周囲には、フランス語で次の言葉が書かれています。
Notre-Dame d'Orcival, couronnée le 3 mai, 1894 ノートル=ダム・ドルシヴァル 1894年5月3日に戴冠
もう片面にはノートル=ダム・ドルシヴァルのバシリカが浮き彫りにされ、周囲にフランス語で次の言葉が書かれています。
église de Notre-Dame d'Orcival ノートル=ダム・ドルシヴァル聖堂
本品は百年以上前の品物ですが、浅浮き彫りであるにもかかわらず、図柄が細部まで判別できる良好な保存状態です。上部の環に破断があります。軽いメダイですので、特に修理をせずとも脱落する心配はありませんが、念のために接着剤で開口部を塞ぎました。