不規則なパターンに従って、手作業で刻み目を入れた真珠母(しんじゅも マザー・オヴ・パール)のプレートに、楕円の枠が付いたブロンズの聖像を取りつけた珍しいメダイ。最大
4.7ミリメートルの厚みがあり、ころんとした感じが可愛らしい聖品です。一方の面には十字架上のイエズス、もう一方の面には無原罪の御宿りをあしらいます。
十字架上で頭を上げて正面を見つめるイエズスは、未だ事切れずに苦しみつつも、「父よ、この罪を彼らに負わせ給うことなかれ」と祈っておられます。無原罪の聖母は球体の上に乗り、両手を斜め下に伸ばして広げ、掌を前に向けて救いへと招いています。
フランスのロザリオやクロス、クルシフィクスには真珠母を使ったものがありますが、メダイの例はたいへん珍しく、特に金属と組み合わせたメダイは類例を知りません。第一次世界大戦で戦勝国となり、アルザス、ロレーヌを取り戻して繁栄を謳歌した古き良きフランスの聖品です。
突出部分の金が剥がれてブロンズが露出しており、真正のアンティークならではの経年感がありつつも、問題無いコンディションです。薄く切った真珠母は破損しやすい素材ですが、このメダイは完品です。貝殻特有のイリディセンス(虹色の輝き)は写真に写っていませんが、肉眼で見るとよくわかります。