800シルバーで制作した透かし細工のメダイ。アール・ヌーヴォー期以前のものです。
表(おもて)面の中央には、両腕を広げて斜め下に降ろし、手のひらを前に向けた「無原罪の御宿り」の聖母と、聖母を取り巻く10個の星が浮き彫りにされています。
このメダイは800シルバー製ですが、上部の環にあるはずの刻印(銀の純度を示すホールマーク)が見当たりません。メダイと一体であった元々の環が摩耗して断裂し、別作の環に付け替えたからです。聖母の浮き彫りも磨滅しています。メダイの裏面には何も彫られていませんが、浅く彫られたエングレーヴィングが磨滅して消えたのかもしれません。
800シルバーのメダイは高級品で、初聖体をはじめとする重要な出来事を記念して購入され、記念の日付や名前を刻印して、身に着けられることが多くありました。このメダイも元の所有者にとって大切な記念の品であり、肌身離さず持ち歩かれていたのでしょう。