われは無原罪の御宿りなり ブロンズを鋳造した十九世紀の大型メダイ 46.1 x 34.0 mm


突出部分を含むサイズ 縦 46.1 x 横 34.0 mm  重量 18.6 g

フランス  1870 - 80年代頃



 1870年代または 80年代頃にフランスで製作されたルルドの聖母の大型メダイ。この時代のものとしては稀に見る大きなサイズで、五百円硬貨三枚分に近い重量があり、手に取るとどっしりとした重みを感じます。


 メダイの製作方法には「打刻」と「鋳造」があります。「打刻」は硬貨の製作に使われるのと同様の方法で、原料の金属片をスクリュー・ハンマーの下に置き、ハンマーを動作させれば製作が完了します。これは手間がかからず大量に生産できる方法ですが、浮き彫りの細工はごく浅く、磨滅しやすいのが欠点です。

 これに対して「鋳造」は、融けた金属を鋳型に流し込み、冷えるのを待って取り出し、一点一点を検査して、周囲のバリ(余計な金属)を削り落とす等の仕上げを施す必要があります。フランスで発達した本格的な美術品としてのメダルは、すべて鋳造によって製作されたものです。

 「鋳造」は「打刻」に比べて格段に手間がかかるため、19世紀のメダイはそのほとんどが打刻して製作されたものですが、メダイのサイズが大きくなると、打刻で製作することはできません。本品は 46 x 34ミリメートルのサイズ、最大 4ミリメートル近い厚み、18グラムを超える重量がある大きな作品で、鋳造により丁寧に製作されています。





 メダイの片方の面には、手首にロザリオを掛けてマサビエルの岩場に立つルルドの聖母を、肉厚の浮き彫りで表します。聖母の足下には自然の草の茂みが巧みに表されています。

 ルルドの聖母に執り成しを求める祈りの言葉が、聖母を取り囲むようにフランス語で記されています。

  Notre-Dame de Lourdes, priez pour nous.  ノートル=ダム・ド・ルルド(ルルドの聖母)よ、我らのために祈りたまえ。





 メダイの裏面には、マサビエルの岩場に出現したルルドの聖母と、その前に跪くベルナデットを描きます。聖母は右手首に、ベルナデットは左手首に、それぞれロザリオを掛けています。ベルナデットの右手前には、聖母に出会った日にベルナデットが集めていた薪の束が見えます。

 周囲にはフランス語で「我は無原罪の御宿りなり」(Je suis l'Immaculée Conception.) と記されています。これは出現した女性が名乗った名前としてベルナデットが伝え、ルルドの司祭が驚愕した言葉です。無原罪の御宿り (IMMACULATA CONCEPTIO)は 13世紀のスコラ学者ドゥンス・スコトゥス (Ioannes Duns Scotus. 1266 - 1308) が大成し、ルルドの聖母出現の4年前にあたる 1854年に教皇ピウス9世が教義として宣言した神学上の思想で、教育の無い少女の口から出るはずのない専門用語だったのです。





 本品は百五十年近く前にフランスで制作されたもので、突出部分の磨滅により、真正のアンティーク品ならではの優しい表情を得ています。数あるルルドのメダイのなかでも初期に属し、手間をいとわず鋳造で製作された大型サイズの稀少な作例です。写真に写っていませんが、上部の孔に環を取り付けてお渡しします。





本体価格 11,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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