リジューの聖テレーズ(幼きイエズスの聖テレジア)の円形メダイ。指先に乗る小さなサイズです。材質はブロンズ製で、もともとは銀めっきが掛かっていましたが、現状では細部まで残る良好な保存状態でありながらも、アンティーク品らしい趣を備えています。
メダイの表(おもて)面は、テレーズの横顔を浮き彫りにしています。テレーズはカルメル会の修道女の服装、すなわち茶色の修道衣、薄茶色のマント、白のウィンプル、黒の頭巾を身に着け、眼差しを真っ直ぐに神へと向けています。このメダイが制作される直前、1925年に列聖された聖女を囲んで、フランス語で「幼きイエズスの聖テレジア」(Sante
Thérèse de l'Enfant-Jésus) と刻まれています。
テレーズの前にはクルシフィクスと薔薇が見えますので、この浮き彫りはクルシフィクスと薔薇を胸に抱いたテレーズを描いていることが分かります。しかしながらよく知られる図像とは異なり、テレーズを前からではなく横から捉えて描いています。
19世紀前半から中頃にかけて活躍し、フランスにおけるメダイユ芸術隆盛の嚆矢となった彫刻家ダヴィッド・ダンジェ (Pierre-Jean David d'Angers, 1788 - 1856)
は、横顔を好んで作品にし、次のような趣旨の言葉を語っています。
「正面から捉えた顔はわれわれを見据えるが、これに対して横顔は他の物事との関わりのうちにある。正面から捉えた顔にはいくつもの性格が表われるゆえ、これを分析するのは難しい。しかしながら横顔には統一性がある。」
ここでダヴィッド・ダンジェが言っているのは、モデルの顔を正面から捉えて作品にする場合、その時その場でその人物(彫刻家)と向かい合っているという特殊な状況(一回限りの、個別的な状況)のもとで、その時限りの感情が顔の表情となって現れ、モデルのありのままの人柄を観察・描写する妨げになるのに対し、横顔には常に変わらないモデルの人柄が、ありのままの形で現れる、ということでしょう。その時限りの感情ではなく、モデルの生来の人柄と、それまで歩んできた人生によって形成された人柄を作品に表現するのであれば、横顔を捉えるのが最も適しているというダヴィッド・ダンジェの指摘には、なるほどと頷(うなず)かせる説得力があります。
ちなみにテレーズの前に咲く薔薇は、直径1ミリメートルあまり、葉の長径は1ミリメートル未満と非常に小さなサイズですが、一枚一枚の花弁や葉が丁寧に表現されているのに驚かされます。裏面は二輪の花を咲かせた一本の薔薇を浮き彫りにしています。こちらの薔薇は表(おもて)面よりも大きめですが、それでも花の直径は3ミリメートルほどしかありません。
いずれの面においても、「薔薇」は愛の象徴です。またテレーズの象徴でもあり、聖母マリアの象徴でもあり、イエズス・キリストの受難の象徴、すなわち神の愛の象徴でもあります。
リジューのテレーズは今から90近く年前、1925年に列聖されましたが、本品は列聖からあまり時間が経たない時期に制作されました。古い年代の品物であるゆえ銀めっきに剥がれが見られますが、メダイそのものに大きな磨滅は無く、細部までよく残る良好な保存状態です。拡大写真は実物の面積を約40倍に拡大しており、突出部分のわずかな磨滅が判別可能ですが、肉眼で実物を見るとたいへん綺麗です。
本体価格 3,800円 販売終了 SOLD
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