「竜を倒す大天使と、モン=サン=ミシェル修道院」 フランスを守る聖ミカエル 超絶技巧の細密浮き彫りによる小品メダイ 直径 12.3 mm
突出部分を除く直径 12.3 mm
フランス 1920 - 30年代
フランスを守る守護聖人のひとり、大天使ミカエルのメダイ。直径十二ミリメートル強の小品ながら、いずれの面の浮き彫りも迫力ある出来栄えです。
メダイの一方の面には、竜の姿のサタン(堕天使の首領、悪魔)に止めを刺すために剣を振り上げる大天使ミカエルが浮き彫りにされています。大天使の左側には修道院の列柱、右側には「クイス・ウト・デウス」(QUIS UT DEUS)の文字が刻まれています。
「クイス・ウト・デウス」は「神の如き者は誰か」(QUIS UT DEUS EST?)というラテン文をより簡潔に表したフレーズです。これはへブル語の名前「ミカエル」(MICHAEL)のラテン語訳であるとともに、神と対等になろうとして反逆したサタンを詰問する言葉でもあります。
(上) モン=サン=ミシェル修道院内、レグリーズ・サン=ピエール(聖ペトロ教会)に安置されている像。本品の浮き彫りのモデルです。フランスの古い絵はがきより。
神に愛された天使ルキフェル(羅 LUCIFER 「光ある者」の意)は、自己の極大化を試みて神に背き、サタンとなりました。神の如き者になろうとして、却って自己を卑しめ、多くの人に不幸をもたらしたのです。これとはまったく対照的に、大天使ミカエルは神の意思に逆らうことが決してありません。ミカエルは神のうちに自己を消し去り、神との完全な一致を達成することで、却って「神の如き者」となりました。
上の写真に写っている定規のひと目盛りは、一ミリメートルです。ミカエルの横顔は整って、目、鼻、口を見分けることができます。ミカエルの右手には剣を握る指が彫られています。背中の翼は一枚一枚の風切り羽が判別できます。これらの細部はすべて数十分の一ミリメートルのオーダーで造形されています。
もう一方の面にはモン=サン=ミシェル修道院(L'abbaye Mont-Saint-Michel)の全景が彫られています。写真では分かりづらいですが、この面の浮き彫りはダイナミックな凹凸によって優れた三次元性を有し、小さなサイズを超えた臨場感があります。
上の写真に写っている定規のひと目盛りは、一ミリメートルです。モン=サン=ミシェル修道院を構成する大部分の建物は、数分の一ミリメートルの幅しかありませんが、建物の輪郭はもちろんのこと、窓をはじめとする細部も正確に再現されています。立ち木や岩盤までも写実的に描写されていますが、その大きさは一ミリメートル未満です。これは建物や立ち木の細部が百分の一ミリメートル単位の精密さで造形されていることを意味します。
絵画でも彫刻でも、極端に小さな作品を作るのは困難を極めます。本品を制作したグラヴール(仏 graveur メダイユ彫刻家)は、メダイの母型をこのままのサイズで彫っていますが、その仕上がりには危なげが無く、ルーペで見ているとノルマンディーの海岸に立って修道院を見ているかのような錯覚にさえ陥ります。芸術的感性に裏打ちされたグラヴールの職人的技量は、実物を見ても信じ難いほどの域に達しています。
本品が制作された時代は戦間期に当たります。フランスは第一次世界大戦で国土が戦場となり、恐ろしい戦争被害を被りました。フランスの守護聖人のひとり、聖ミカエルを刻んだ本品には、当時のフランスの人々が平和を求める真摯な祈りが籠められています。フランスはこの後再び苦難の時代を迎えますが、ノルマンディーの海岸に上陸した連合軍によって国土が解放されます。その後の歴史を知る我々には、フランスを守るミカエルとノルマンディー海岸の修道院を彫った小さなメダイが、歴史の展開を予告しているかのように感じられます。
本品は八十年ないし九十年前のフランスで制作された真正のアンティーク品です。古い年代にもかかわらず、保存状態は極めて良好で、突出部分にも磨滅はほとんどありません。直径十二ミリメートル強の小さなサイズは他のメダイとの併用にも向いていますし、守護天使のペンダントとして常に身に着けていただいても邪魔になりません。
本体価格 4,500円 販売終了 SOLD
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