サンティアゴ・デ・コンポステラ司教座聖堂 西側ファサードと、主祭壇の使徒ヤコブ像 聖地を身に着けるメダイ 16.2 x 13.9 mm
貝を閉じたときの、突出部分を含む長さ 16.2ミリメートル 幅 13.9ミリメートル 最大の厚さ 4.0ミリメートル
スペイン 20世紀前半
ベネラ (venera)、すなわち巡礼の象徴であるイタヤガイを模(かたど)ったメダイ。細部において自然の貝殻を模しつつも、類品に比べて薄めに作られています。
イタヤガイは小さいサイズながらたいへん写実的で、放射肋には細かい平行線が伴うのに加えて、四本の成長肋があるばかりか、それぞれの成長肋に対応して翼耳(靭帯が付く部分)にまで成長肋が刻まれています。
平坦な裏側には、壮麗なバロック様式によるサンチアゴ・デ・コンポステラ司教座聖堂西側ファサードが、細密な浮き彫りによって実物どおりに再現されています。浮き彫りにされた聖堂の高さは、およそ 11ミリメートルです。
メダイ上部の環を支点に回転するようにスライドすると、西側ファサードと重なる内部に、使徒サンチアゴの像が現れます。これは非常に大きな像で、西側から聖堂に入って身廊を縦断した突き当り、主祭壇の上方に安置されています。巡礼者は階段を上って、サンチアゴ像の肩あたりから身廊を縦に見晴らすことができます。したがって、メダイを開けると西側正面の奥に大きなサンチアゴ像があるという本品の意匠は、実際の司教座聖堂への巡礼を再現していることがわかります。
西側ファサードを刻んだ側の裏面には、「レクエルド・デ・サンチアゴ」(recuerdo de Santiago スペイン語で「サンチアゴ巡礼記念」の意)と記されています。サンチアゴとは「聖ヤコブ」を表すスペイン語で、「サンクトゥス・ヤコブス」(SANCTUS
IACOBUS ラテン語で「聖ヤコブ」の意)が訛ったものです。俗ラテン語および中世スペイン語において、この語形変化は次のようなプロセスで起こります。
・対格 SANCTUMから、連続する黙音[kt]の[k]が脱落する。UMの[m]は弱化したうえ消失し、[u]は次に続く母音[ja]に同化吸収されて消失する。すなわち
SANCTUM → Sant-*
・対格 JACOBUM の語尾UMの[m]が弱化したうえ消失したのちに、[u]が[o]に変化する。また中世スペイン語において、母音にはさまれた無声子音は有声化するという規則に従い、Cの音[k]が[g]になる。さらに同じく中世スペイン語において、母音にはさまれた有声子音は消失するという規則に従いB[b]が消失して、この前後の[o]が融合する。すなわち
JACOBUM → iago*
すなわち、 SANCTVS IACOBVS (SANCTUS JACOBUS) → Santiago となります。
古代・中世以来のヨーロッパでは聖遺物が崇敬され、重要な聖遺物を擁する聖地には、大規模な巡礼が行われました。使徒ヤコブの埋葬地とされるサンチアゴ・デ・コンポステラは、中世西ヨーロッパ最大の巡礼地でした。
司教座聖堂西側ファサードと主祭壇のサンチアゴ像を重ね合わせることにより、聖地サンチアゴ・デ・コンポステラをいわば貝殻に閉じ込めた本品は、地上を旅するわれわれが、聖地のエッセンスを身に着けるのを可能にしてくれます。イタヤガイを模った意匠は見た目に美しいのみならず、キリスト教二千年の歴史を内に秘めています。
本品の保存状態は良好です。特筆すべき問題は何もありません。
本体価格 16,800円 販売終了 SOLD
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