一方の面にアッシジの聖フランチェスコ、もう一方の面に無原罪の御宿りを打刻した19世紀末のブロンズ製メダイ。
アッシジの聖フランチェスコは修道服に身を包み、胸に手を当てて祈っています。聖人の衣がごわごわした粗末な布製であることは、布に細かい皺が寄っていないこと、聖人の頭からずり落ちた頭巾がしなやかさを欠いていて、立体的な形を保っていることからもわかります。聖人は腰に荒縄を巻いてこの衣を着用しており、右の脇には大型のロザリオも見えています。
聖人の前にはクルシフィクスと祈祷書、メメント・モリの象徴である頭蓋骨が置かれています。メメント・モリ、正確にはメメントー・モリー (MEMENTO MORI) はラテン語で「死を忘れるな」という意味です。聖フランチェスコの手には、1224年9月に受けた聖痕の傷が見えます。聖フランチェスコの周囲には、心優しいこの聖人に執り成しを求める祈りの言葉が、フランス語で書かれています。
St. François d'Assise. priez pour nous. アッシジの聖フランチェスコよ、我らのために祈り給え。
もう片面には下弦の月に乗り、球体の上で蛇を踏みつけて立つ無原罪の御宿り、聖母マリアの姿が刻まれています。聖母は胸の前に手を合わせて、罪びとたちのため、神の御前に執り成しの祈りを捧げています。聖母の周囲には、優しい聖母に執り成しを求める祈りの言葉がフランス語で刻まれています。
Ô Marie conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à vous. 罪無くして宿り給えるマリアよ、御身に頼る我らのために祈りたまえ。
このメダイは19世紀末のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、浅浮き彫りにもかかわらず、細部までよく残っています。100年以上前の物としては、十分に良好なコンディションです。