指先に載るサイズの鳩を象(かたど)った美しいメダイ。金めっきをかけた金属製で、濃色の透明ガラスでエマイユ(七宝)が施されています。いまから数十年前、20世紀半ばにフランスで製作された真正のヴィンテージ品ですが、たいへん珍しいことに、販売されることなく新品のままメダイ工房の片隅に眠っていたデッド・ストック品です。
本品の鳩は頭を下向きにしていますが、これは天上界から地上へと降(くだ)る神、すなわち三位一体の第二のペルソナ(位格)である聖霊を象徴的に表しています。エマイユのガラスは紫がかった青色ですが、空の色である青は金色と並んで天上を象徴する色であり、また紫は古代以来最も高貴とされてきた色ですから、神(聖霊)を象徴的に表現するのに、金、青、紫ほどふさわしい色はありません。
いっぽう、紫色はフランス語で「ヴィオレ」(violet) ですが、この語は植物のスミレを表す「ヴィオレット」(violette) に由来し、「すみれ色」の意味です。しかるに、すみれは丈が低い植物で、地面すれそれのところで花を咲かせることから、謙遜を表します。造物主、天地の主宰者、超越者、神である聖霊が、この地上に降(くだ)る、あるいはキリスト者に降るということは、想像を絶するような恩恵、奇蹟です。それゆえ地上に降り給う聖霊の似姿にエマイユを掛けるとすれば、スミレ色はまさに最もふさわしい色といえましょう。
メダイの裏面には修道院長の牧杖(ぼくじょう)を持ったヌルシアの聖ベネディクトゥスが浮き彫りで表されています。ヌルシアの聖ベネディクトゥスは西ヨーロッパにおける修道制度の基礎を築いた人ですから、修道を援けたまう聖霊、または謙譲を象徴するすみれ色と、修道院長聖ベネディクトゥスの浮き彫り像は、たいへん自然な組み合わせといえます。
このメダイはデッド・ストック品(新品)ですので、金めっきに色の薄い部分、剥げた部分は一切ありません。金色とすみれ色の対比が眼に鮮やかですが、小さなサイズのメダイですので、派手さはまったく無く、却って上品な華やぎを感じさせてくれます。
メダイは数枚在庫しています。イアリングやペンダントとして身に付けられる場合、必要な金具を併せて販売することも可能です。お気軽にお申し付けくださいませ。