フランチェスコ会の修道服に身を包んだふたりの聖人、アシジの聖フランチェスコとパドヴァの聖アントニウスを浅浮き彫りにした19世紀末ごろのブロンズ製メダイ。
片方の面には十字架と、メメント・モリの象徴である頭蓋骨を前にして立つアシジの聖フランチェスコの姿が表されています。メメント・モリ、正確にはメメントー・モリー (MEMENTO MORI) はラテン語で「死を忘れるな」という意味です。聖フランチェスコの手には、1224年9月に受けた聖痕の傷が見えます。聖フランチェスコの周囲にはフランス語で次の言葉が書かれています。
St. François d'Assise. priez pour nous. アシジの聖フランチェスコよ、我らのために祈り給え。
もう片面には祈祷の際に幼子イエズスの幻視を体験するパドヴァの聖アントニウスが、浮き彫りで表されています。祈祷書から現れた幼子イエズスは純潔の象徴である百合の花を手にして聖アントニウスのほうに腕を伸ばし、聖アントニウスはわが子を慈しむかのように幼子イエズスを抱き寄せています。聖アントニウスの周囲にはフランス語で次の言葉が刻まれています。
St. Antoine de Padue, priez pour nous. (パドヴァの聖アントニウスよ、我らのために祈りたまえ)
このメダイは19世紀末に制作されたと思われる非常に古い聖品ですが、磨滅はほとんど起きておらず、浅浮き彫りの図柄もはっきりと判別できます。この時代のアンティーク品としてはすばらしいコンディションです。