フランスにあったエルサレム十字。38.1 x 33.7ミリメートルという大きなサイズで、5.7グラムの重量があります。
本品は完全な手作り品で、鋳造により手間をかけて制作されています。素材は銀色を呈する無垢の金属です。ポワンソン(ホールマーク 貴金属の純度を示す刻印)は見当たりませんが、銀であろうと思います。大きな十字架の交差部を起点に、秩序正しいパターンを描いて伸びる美しい唐草模様は、ケルト十字の組み紐文を思わせます。キリスト教図像の象徴体系において、棘のある植物は「罪の呪い」を意味するゆえに、贖(あがな)い主の十字架を飾る植物として、アカンサス(葉あざみ)は最も適しています。
「エルサレム十字」(la Croix de Jérusalem)は、 中心にある大きなギリシア十字を四つの小さな十字架が取り囲みます。四つの小さな十字架は四福音書を表すとも、エルサレムから四方に福音が述べ伝えられたことを表すともいわれます。また五つの十字架はキリストの五つの御傷を表すといわれています。
エルサレム十字は、教皇ウルバヌス2世 (Urbanus II, c. 1035 - 1088 - 1099) が第一回十字軍 (1096 - 1099) に与えた旗に付いており、また第一回十字軍によって 1099年に建国されたエルサレム王国の旗と紋章にもなりました。
本品は中世の十字架にも似た手作りの風合いを有しており、十字軍の時代を偲ばせます。重厚感のある素材を用いて大きなサイズに作られていますので、男性にもご愛用いただけます。