十二時側と六時側に、それぞれひとつずつ突起(ラグ)がある女性用時計のバンド。金属部分の材質は12カラットのイエロー・ゴールド・フィルドで、多数のラインストーンをプロング・セット(爪留め)しています。ラインストーン付のバンドは、ステンレス・スティールや銀など、ほぼ必ず銀色の金属を使用しています。無色のラインストーンを金色に合わせた本品は、たいへん珍しい作例です。
ゴールド・フィルド(金張り)とはベース・メタルに金の薄板を鑞付け(ろうづけ 溶接)したもので、現代の金めっき(エレクトロプレート)に比べると、金の厚さは数十倍、時には百倍にも及びます。留め金にはメーカーのロゴの横に次の刻印があります。
1/20 - 12 KT. GOLD FILLED, PAT. PEND. MADE IN USA
この表示は、金属部分の重量の 1/20に相当する分量の 12カラット・ゴールド(十二金)を使用した「12カラット・ゴールド・フィルド」である、という意味です。12カラット・ゴールド(十二金)は純度12/24、すなわち純度50%の金という意味で、十八金や十四金に比べて耐摩耗性が格段に優れます。
ラインストーンとは鉛を多く含む「クリスタル・ガラス」(鉛ガラス)を宝石のようにカットしたもののことです。クリスタル・ガラスは屈折率が高く、きらきらとよく光ります。ラインストーンを台座に接着したコスチューム・ジュエリーは、経年により接着剤が劣化して「石落ち」が発生しますが、本品はひとつひとつのストーンを爪で留めているので、そのような問題は今後も起こりません。
本品はデッド・ストック品(新品)です。ストーンのパヴィリオン面(裏面)の箔が経年のために剥がれかけていますが、多少古びた文字盤の色などアンティーク時計の風合いがお好きであれば、気にならないはずです。
上の写真は合成写真です。商品の在庫数は一点です。合成写真のいちばん上といちばん下は、本品の表(おもて)面と裏面をそれぞれ撮影しています。合成写真の上から二つ目は留め金を最後まで押し込んでいない状態ですが、この状態でも留め金にはロックがかかって安全に使用できる仕組みになっています。留め金を最後まで押し込んだ状態の全長は
14.5センチメートル、留め金にロックがかかった状態で最も長いときの全長は 15.5センチメートルで、これに時計の長さが加わります。なお全長
14.5 ~ 15.5センチメートルの範囲を超えて本品を短縮あるいは延長することはできません。
本品は 1950 - 60年代頃にアメリカ合衆国で作られました。無色のラインストーンを金色に合わせた本品は、銀色のバンドには無い華やぎがあり、繁栄を極めるゴールデン・エイジのアメリカ製にふさわしい表情を持っています。五、六十年前に製作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらず良好な保存状態です。壊れている箇所は無く、快適に実用できます。