τετράς/τέσσαρες/τέτταρες, QUATTUOR, quatre, four, vier




(上) Bartolomeo Manfredi, "Allegory of the Four Seasons", ca. 1610, Oil on canvas, 132.5 x 90 cm, The Dayton Art Institute, Dayton, Ohio


 自然数「四」は万物あるいは全体性の象徴です。

 西洋において四の全体性が体系的に論じられたのは、ピュタゴラスのテトラクテュスが最初です。しかしながら万物を表す四の象徴性、あるいは四を万物と同一視する考え方は、有史以前の時代に遡ります。

 方位や季節を四つに分けることに我々は慣れきっていて、あたかも自明のことであるように感じています。しかしながら二次元の方位を規定するには三つの軸があれば事足ります。また方位も季節も本来は連続的です。それゆえこれを四つに区切る考え方は、自然の分析による客観的必然性を有しません。季節や方位を四つに区切る考え方は、「四つの部分が全体を構成する」という古来の思想に基づくのであって、文化的伝統に規定されたシェーマ(独 das Schema 思考の枠組み)に他なりません。

 全体が四つに分かれるという考え方は必然的正当性を感じさせるほど我々に深く浸透しています。この思考の伝統は、おそらく有史以前に遡ります。古来の四元素説における元素の数や、ガレノス以来の医学における体液の種類は、いずれも四つです。宗教の領域においても、神の聖名を表すヘブル文字の数、エデンの園から流れ出す川の数、十字架の腕の数、福音記者の人数は、いずれも四です。




註1 



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