総革装のアンティーク・アルバム 50枚収納 153 x 120 mm フランス 1880年代頃


縦横のサイズ 153 x 120 mm  厚さ 47 mm

窓のサイズ 86 x 52 mm



 1880年代頃のフランスのアルバム。





 本品は総革装で、背表紙に「アルボム」(ALBUM フランス語で「アルバム」の意)の文字が型押ししてあります。表紙と裏表紙には、アルバムよりも一回り小さな長方形の中に、十八世紀風のロカイユが非常に立体的に造形されています。ロカイユの中に楕円がある表紙は絵画やグラヴュールによる肖像を連想させ、肖像写真を保管するアルバムにふさわしい意匠となっています。





 小口にはブロンズ製の掛け金が渡されており、堅牢な作りです。本品の制作年代はアール・ヌーヴォー期よりも以前で、左右対称のクラシカルな意匠となっています。





 掛け金を外してアルバムを開けてみます。上の写真では分かりづらいですが、見返しと遊び紙には木目様(よう)の文様がエンボス(型押し)されています。






 アルバム本体は二十五枚の厚紙を綴じています。厚紙の両側には画用紙ほどの厚さのしっかりとした紙が袋を作るように張られており、写真を下から挿し入れるようになっています。写真は厚紙の両側に一枚ずつ入りますから、五十枚の写真を収納できます。画像でご覧いただけるように、1ページめの窓の左下が破れています。裏側から紙を貼って補修できますが、現状のままでも実用に差し支えはありません。





 窓はカルト・ド・ヴィジットを収納するのにちょうど良い大きさで、縦 86ミリメートル、横 52ミリメートルです。カルト・ド・ヴィジットは摩擦力によって定位置に保持されます。上の画像では分かりにくいですが、カニヴェのような模様が窓の周囲にエンボス(型押し)されています。

 十九世紀当時、このようなアルバムを作る際は手作業で糊付けを行いましたので、収納可能な最大のサイズは、ページによって多少異なります。おおよそのサイズでいえば、縦 120ミリメートル、横 70ミリメートルほどの紙まで収納できます。しかしながらこのサイズの紙を入れた場合、左右がおよそ 1センチメートルずつ、下部が 1センチメートルほど、上部が 2.5センチメートルほど、周囲の紙に隠れます。

 「カルト・ド・ヴィジット」(carte de vosite) とはフランス語で「訪問用カード」という意味で、わが国の名刺に当たります。1850年代半ばから 20世紀初頭のフランスでは、名刺に名前を書く代わりに写真を貼り付けた「フォト=カルト・ド・ヴィジット」(photos-cartes de visite) が大流行し、盛んに交換されました。本品のようなアルバムはどこの家庭にもあって、フォト=カルト・ド・ヴィジットの収納に使われていました。





 カルト・ド・ヴィジット以外にも、30切や名刺版のように小さな写真、小さな聖画など、何を入れても構いません。上の写真の左側は聖セシリアの小聖画、右側は聖フランチェスコの小聖画です。いずれもこのアルバムと同時代のフランスで刷られた石版画で、カルト・ド・ヴィジットと同様のサイズに作られています。





 「カルト・ド・ヴィジット」用アルバムはたくさん作られましたが、本品はその中でも特に美しい作例のひとつで、保存状態も極めて良好です。革による装丁はほとんど傷んでおらず、金具にも緩みはありません。百数十年前のフランスで制作された真正のアンティーク品にもかかわらず、重大な瑕疵(かし 欠点)は何もありません。





25,800円 販売終了 SOLD

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