第一次世界大戦中のフランスで、父親を失った孤児たちのために設立された慈善団体のひとつ、オルフェリナ・デ・ザルメ (l'Orphelinat des Armées) のプラケット。ブロンズの打ち出し細工による薄いプラケットに、金めっきを施しています。
幼い子供をかばうように、両腕を伸ばして抱き寄せる悲母(優しい母)の姿を描いたこの作品は、寄附をした人に贈られたもので、上部の孔にフランス国旗と同じトリコロール(青、白、赤)のリボンを通してあります。母子像の下に、「オルフェリナ・デ・ザルメ」の文字が、アール・ヌーヴォーの書体で記されています。その左上にはルネ・ラリック
(Rene Jules Lalique, 1860 - 1945) のサインがあります。
本品は概ね良好なコンディションです。母の顔に接する背景部分に、酸化による軽い黒ずみがあります。