19世紀中頃または後半頃のフランスで、ブロンズを用いて制作されたメダイユ。124.2グラムの重量があり、手に取るとかなりの重みを感じます。
メダイユ表(おもて)面の彫刻は写実的で、うさぎの毛並みはもちろん、背景の草や土くれまで克明に表現されています。浮き彫りの背景がメダイユの縁に比べて彫りくぼめられているために、うさぎの体の丸みを、一層の立体性を以って表すことが可能となり、さらに突出部分の摩耗が軽減される効果もあって、優れたメダイユ作品に仕上がっています。
メダイユ裏面にはシェーヌ(Chêne ぶな)の枝を束ねたものが浮き彫りにされています。シェーヌは古代ギリシアにおいてもケルトにおいても聖なる樹とされ、正義と力強さ、堅固さを象徴します。
本品の制作年代は不明ですが、上部の環がメダイユと直角に取り付けられています。これは19世紀中頃までに製作されたメダイユの特徴です。本品はおよそ150年あるいはそれ以上前に遡る真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらずたいへん良好な保存状態です。特筆すべき問題はありません。