パレフ、ムステラ、ホルイの卵白テンペラ漆塗り小箱
ロシアの漆塗り小箱は、初めはフェドスキノで作られていましたが、1923年以降、パレフ、ムステラ、ホルイでも作られるようになりました。これら三つの村では1656年から1917年までイコン(ロシア正教の聖画像)が制作されていましたが、共産主義政権になってイコン制作が禁じられると、多くのイコン作家たちが小箱作りに転換したのです。
これら三つの村で描かれる絵は卵白を使用したテンペラ画で、鮮やかで明るい色彩が大きな特徴です。絵のテーマはプーシキンの作品や民話から取られたシーンが多く、ラスコーリニキ(ロシア正教会のなかでも古い信仰と形式を守る分離派)のイコンの技法が使われ、描かれる人物の首をかしげて踊っているようにも見える姿勢や細い手足にも、ラスコーリニキのイコンの影響が色濃く残ります。また細かい金色の線を多用することも特徴で、蓋に描かれた画面の中のみならず箱の側面も金色の線で美しく飾られます。またムステラとホルイの箱は、絵の背景に、しばしば黒ではなくパステルカラーが使われます。
油彩を施したフェドスキノの漆塗り小箱と同様に、卵白テンペラを施したパレフ、ムステラ、ホルイの宝石箱は輝くように美しく、コレクターの羨望の的です。これらの小箱はいずれもロシアが世界に誇る優れた工芸品となっています。
パレフ
パレフの漆塗り小箱 「旅立ち」
E. クラスコフ作 「ムジカ」 笛を奏でる乙女
販売終了 SOLD
ムステラ
マダム・ル・ブランの自画像に基づく小箱 直径 50 mm 深さ 30 mm
漆塗り小箱 「赤い花の少女」 直径 50 mm 深さ 30 mm
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