岩には火成岩と堆積岩の二種類がある。
一方の堆積岩は、粘土、シルト、砂、礫(小石)が堆積し、上から押されて固まったものだ。「堆積」とは、積もる、積み重なる、という意味だ。堆積岩の原料である粘土や砂は、もともとはマグマが固まった岩が侵食され、水の流れで運ばれてきたものだ。
化石は堆積岩のうち、熱や過剰な圧力で変成されていない岩の中から見つかる。よく見かける堆積岩には次の様なものがある。
・頁岩 シェール。とても細かい粘土からでき、本のページのように薄く剥がれる。このように決まった形に割れる性質を「劈開性」という。
・泥岩 粘土からできた粘土岩、シルトからできたシルト岩を含む。
・砂岩 砂からできた岩。
・礫岩 非常に多くの小石が含まれる岩。
・粘板岩 スレート。瓦や硯の材料。
・凝灰岩 火山灰が岩になったもの。
・珪藻土 珪藻という植物プランクトンの殻が堆積して、化石になったもの。二酸化珪素でできている。珪藻土も、堆積岩そのものが化石だ。珪藻土を細かく砕いて顕微鏡で見ると、綺麗な形の珪藻の殻が見える。
・岩塩 大昔の海が干上がって海水中の塩が取り残され、岩のように固まったもの。海そのもの(海水)の化石、と考えても良い。
動物や植物が死ぬと、ふつう遺体は地表に露出したままだ。酸素がある所に放置された遺体は、他の動物に食べられたり、微生物に分解されたりして無くなってしまう。骨や歯は腐らないが、地表にあるままだと風化して、やはり崩れてしまう。
しかし何らかの理由で遺体が粘土や砂の中に深く埋もれると、他の生物にも食べられないし、酸素が無いので、すぐに分解されることもない。遺体が分解されないまま長い年月が経つと、有機物(生物の体を作る物質)は鉱物(粘土や砂の成分)で徐々に置き換えられ、堆積岩中の化石になる。骨や歯、殻などの固い部分も、そのままの状態で残るのではなく、鉱物で置き換えられる。
生物の遺体が地下に埋まる理由は様々だ。
いちばん分かりやすいのは、火山灰に埋もれる場合だ。ポンペイは古代のイタリアにあった高級保養地だったが、紀元79年にヴェスヴィウス山が噴火して、人間や動物もろとも厚さ八メートルの火山灰に埋もれてしまった。ポンペイ遺跡は1748年になって偶然発見されたが、もしもずっと見つからなければ、埋もれた人間や他の生き物は、将来化石になっていただろう。このような火山の噴火は大昔からあったから、火山の噴火で埋もれた生物も、これまでにたくさんいるだろう。
地震による山崩れや大きな津波によって大量の土砂が一度に運ばれ、いろいろな物が埋まってしまうこともある。大雨による山崩れも起こり得る。化石もそうだが、遺跡も土に埋まっている。これは治水の土木技術が発達していなかった時代に、洪水が頻繁に起こって、大量の土砂が低いところに堆積したことによる。
変わったところでは、大型草食恐竜が湿地を歩くと足跡が深い穴になって、そこに落ちた小さな恐竜などが脱出できずに死に、そのまま化石になる場合がある。危ない穴があっても夜は真っ暗で見えないし、雨が降って泥水が溜まれば、浅い水たまりと区別がつかない。
いちばん多いのは、生き物の遺体が水に流されて海や湖にたどり着き、底に沈んで化石になる場合だ。初めから水の中に住んでいる生き物の遺体も、これと同じ方法で化石になる。川は一日中休まずに土砂を運んでくる。大雨や洪水のときは、特に膨大な量の土砂が運ばれる。
大きな川が運ぶ土砂の量は、想像を絶している。黄河は十六億トン、ガンジス川は十四億五千万トン、アマゾン川は九億トンの土砂を毎年運んでいる。あちこちにある小さな川も、それなりの量の土砂を運んでいる。川に運ばれた生物の遺体は、土砂といっしょに海底、湖底に沈み、やがて堆積岩中の化石として発見される。