Ἀκαδήμεια Κῶβε アカデミア神戸 小中学生向け講座




【アカデミア神戸が目指すもの ― 「知の技法」の教育】

 《アカデミア神戸 小中学生向け講座》は、子供たちに「知の技法」、すなわち美しい知を求める技法を教えることを目指しています。アカデミア神戸が考える美しい知とは、無条件的に真である知、すなわちどのような立場に立つ知性によっても承認される知のことです。

 世界を正しく説明する数学や物理学の理論は、必ず対称性、不変性を有します。数学において、美しい数式とは、回転対称性と並進対称性を有する数式のことです。理論物理学者もまた、数学における美しさと同質の美しさを手掛かりに、宇宙を構成する四つの力の関係を考えてきました。

 アカデミア神戸が考える「知の美しさ」は、数学や物理学における数式の美しさと、本質的に同一のものです。数学や物理学の正しい理論が対称性、不変性を常に有するという事実に基づき、アカデミア神戸ではどのような立ち位置から見ても不変である知を、美しい知であると考えています。《アカデミア神戸 小中学生向け講座》のすべての授業は、美しい知を求める視点に立って行われます。特定の地域、民族、時代、宗教の価値観を排することは言うまでもなく、特定の生物種の価値観さえも徹底的に排し、自分を相対化する視点の獲得を目指します。

 日常に埋没した成人にとって、このような「真の知」「美しい知」の獲得は、極めて困難なことです。プラトンは「パイドン」67eで、「真の哲学者たちは死の修練をしている」(οἱ ὀρθῶς φιλοσοφοῦντες ἀποθνῄσκειν μελετῶσι, PHAEDO 67e)とソクラテスに語らせています。東洋においても、甲骨文の「真」は「首」を倒立させた死者の象形で、現世に生きる人間が真理を探求する難しさを端的に表しています。

 しかし私は、子供たちが真の知、美しい知に日常的に触れるならば、成人よりもはるかに柔軟な子供の精神に、自分を相対化する能力が浸潤してゆくと信じています。自分を相対化する能力を得た子供の知性は、民族や文明圏の枠に囚われず、時代の枠に囚われず、生物種の枠にも囚われず、惑星や銀河や銀河団の枠にも囚われず、さらには次元の枠にさえ囚われずに、鎖を断ち切って洞窟の外に出ます。(RES PUBLICA, 514a - 515a)

 《アカデミア神戸 小中学生向け講座》が教えるのは、鎖を断ち切るための「知の技法」です。真の知を発見する方法を身に着けたとき、子供の知性は必ずや洞窟の外に出て、まばゆいまでに美しい外界の住人となることでしょう。


【受講生の年齢と、提供する授業について】

・《アカデミア神戸 小中学生向け講座》の受講生は、主に小中学生を想定しています。低学年と高学年では関心のある分野や理解力が異なりますから、それぞれの回の参加者を編制する際には、子供の年齢と理解力の程度ができるだけ揃うように配慮しています。

《アカデミア神戸 小中学生向け講座》の授業内容は、学校や受験とまったく関係がありません。学校の成績向上や受験に直結する勉強を求める方は、こちらのページをご覧ください。


【入塾、開講日時、費用について】

・入塾は随時受け付けます。入学金、協賛金等はいっさい不要です。長く使えて子供の成長に役立つ教材を厳選し、実費での購入をお願いする場合があります。

小学生、中学生の受講料は一回千円で、その都度現金を徴収いたします。継続して受講する義務はありません。授業内容が面白くなければ、いつ辞めても構いません。子供たちが進んで受講したいと思うような、楽しく有意義な授業を提供いたします。

小学校一年生の受講は無料です。お子様だけで受講していただいても構いませんし、保護者が付き添われる場合は、保護者の方もお子様と一緒に無料で受講していただけます。

・授業を実施する曜日と時刻については、受講生の都合を考慮して柔軟に対応します。土日祝日、ウィークデイ、昼間、夕方、夜間のいつでもご相談ください。

・付き添いの保護者による参観は、いつでも可能です。保護者の参観は、お子様の学年にかかわらず無料です。保護者の方も、お子様と一緒にノートを取って勉強していただいて構いません。また、小さなごきょうだいを連れて来ていただいても構いません。

当塾には猫と小鳥がいます。猫アレルギー、鳥アレルギーの方はご注意ください。


【校外学習について】

・校外学習は授業の一環ですので、塾生は通常通りの授業料が必要です。校外学習にかかる授業料以外の費用(交通費、入館料等)は、実費のご負担をお願いします。

・お母様方や小さなごきょうだいが、校外学習に同伴していただくことも可能です。

・猫アレルギー、鳥アレルギーの方が、校外学習のみに参加していただくことも可能です。


【授業の日程と内容について】

・開講の日程は、できるだけ多くの塾生が授業に参加できるよう、その都度柔軟に調整して決めています。履修の実績は、このリンクをクリックすればご覧いただけます。


主宰者ご挨拶

 アカデミア神戸は既成の形式にとらわれない教育の場で、主に小中学生を対象にしています。アカデミア神戸は私塾ですが、世間一般の学習塾ではなく、学校教育の補習の場でもありません。

 私は現在の成人があまりにも貧困な精神を有することに危惧を抱いています。つい先頃のこと、目先のこと、直接的に経験することを超えて思考を及ぼすことができず、あまりにも特殊な状況、些少な情報に基づいて、自他にとって重要な判断を下したり、他者との関わり方を決めたりする人々が、何と多いことでしょうか。世代や地域、民族、国、文明圏の枠から抜け出せず、些末な事柄に囚われている人々の、何と多いことでしょうか。しかしながら適切な教育を受けた人は、地域や国、文明圏の呪縛から解き放たれます。また個人のライフスパンはいうまでもなく、文明史や人類史をも超越して、自然史の全時代を鳥瞰できるようになります。寿命も行動範囲も限られたひとりの人間に対して、それほどまでに分不相応な力を与えてくれるのが、学問なのです。学問によって与えられた認識能力は、分不相応ではあっても、決して無駄ではありません。なぜならば空間、時間、民族や社会階層など、地上のあらゆる呪縛から解き放たれた人間は、その認識能力を行使して、真に大切なものとは何かに気付くことができるからです。(Plato, Phaedrus, 246a - 254e)

 明治政府は国家を支える学問の府として東京帝国大学を開設し、大勢の外国人教師たちを招聘して、ひとりひとりに大臣並の報酬を支払いました。開設された当時の東京帝国大学は開成所を受け継いで神田にありました。ここに学び、留学し、やがて外国人教授と交代した日本人教授たちは、国に恩義を感じていたゆえに、学問を自分だけの専有物とせず、神田のあちこちで早朝や夜間の私塾を開講して、その知識を人々に分け与えました。神田周辺にある多くの私立大学は、東京帝国大学の日本人教師たちが勤務時間外に運営した私塾から生まれたものです。アカデミア神戸の主宰者である私も高等な教育を受けましたので、これを子供たちに分かち与える義務があると感じています。

 アカデミア神戸は空高く舞うワシのような視点を子供に与えることを目的にしています。これは連鎖する貧困を予防すること、貧困の連鎖を断ち切ることにもつながります。アカデミア神戸で現在までに実施したプレ授業の内容は、数学、化学、物理学を中心に、天文学、地学、生物学等の自然科学から、美術史等の人文科学に及びます。「科学」の「科」はドイツ語で「区分、仕切り、分科、部門」等を意味する「ファッハ」(das Fach)に由来しますが、アカデミア神戸ではファッハから入りつつ、ファッハを超えた「ソフィア」(σοφία ギリシア哲学の智、及びキリスト教の上智)を目指します。アカデミア神戸の教育は文部科学省が定めた課程に準拠してはいませんが、おおむね高等学校から大学程度の水準となります。履修の実績はこのリンクをクリックしてご覧いただけます。

 アカデミア神戸が現在の子供たち、未来の世代の子供たちの幸福に資するために、神がこの僕(しもべ)をお使いくださいますように。

2015年11月10日 アカデミア神戸 主宰 広川夏樹


・ 《アカデミア神戸 小中学生向け講座》の開講日時等、詳しくは個別にご案内いたします。こちらからお問い合わせください。電話(078-855-2502 / 090-3860-8457)でも受け付けています。




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