時間が経ってマグマが冷えたころ、大きな天体が地球にぶつかり、地球の表面はふたたびマグマに覆われた。この衝突によって生まれたのが、月だ。
月が生まれた衝突の際、地球が再びマグマに覆われたせいで、地球上に生物が誕生するのが遅れたように思えるかもしれない。しかし、地球の環境が生物にとって住み易い状態に保たれているのは、月ができてくれたお蔭なのだ。
月は地球より小さいが、衛星としてはとても大きい。そのため、月の重力は地球に強い影響を及ぼす。少し後になって地球に海ができると、月は海の水を引っ張り、海水と海底との摩擦によって、地球の自転にブレーキをかけた。地球の自転はそのせいで遅くなり、一日が二十四時間になった。
月の引力が地球に及ぼすもうひとつの影響は、地軸の傾きを24.5度に保っていることだ。地軸がちょうど良い角度に傾いているので、地球には大気と水の穏やかな循環(じゅんかん)が生まれている。
月ができる前、地球上の岩と鉄は混じりあっていた。しかし月ができた衝撃で地球が深いところまでどろどろに融けると、鉄は重いので岩より下に沈み、地球の中心に鉄の核ができた。
地球の表面が冷えて海ができる頃、熱い核のせいで、地殻(ちかく)よりも下にある融けた岩、マントルに対流が起こる。対流によって地殻へ上がって来るマントルを、プルームという。プルームが近くにぶつかる所には、熱水噴出孔ができる。
また鉄の核は磁石として働き、磁力線のバリアで太陽風(太陽から届く放射線)を遮(さえぎ)って、生物を守ってくれている。