免償(贖宥)のクルシフィクス
la croix d'indulgence, the pardon crucifix






 免償(贖宥)のクルシフィクスとは教皇ピウス10世 (1835 - 1903 - 1914) が定めた形式のクルシフィクスで、これを用いることにより、免償(註)を得ることができます。



【免償のクルシフィクスの様式】



 幅広の十字架は各末端部がシルエットとなっており、表(おもて)面の上部にはラテン語で次のように記された札が掲げられます。

JESUS NAZARENUS REX JUDAEORUM  ユダヤ人の王、ナザレのイエズス

 アルファベットの小文字はカロリング時代に作られたものです。、ラテン語の時代には、アルファベットはもともと大文字しかありませんでした。したがってラテン語においては、カロリング時代に考案されたジェイ(j) とユー (u) は使用されず、次のように古典的な表記が為される場合も多くあります。

IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVM  ユダヤ人の王、ナザレのイエズス



 十字架の裏面は、腕木に「父よ、彼らを赦したまえ」、縦の材に「人をかくも愛したまえるこの聖心(みこころ)を見よ」と刻まれます。十字の交差部には炎に燃えるイエズス・キリストの聖心が浮き彫りにされます。聖心は荊(いばら)の冠を巻き付けて血を流しています。最下部には「アウスピケ・マリアエ」(AUSPICE MARIAE ラテン語で「マリアの庇護の下に」)を表すモノグラム、"AM" が記されています。



【このクルシフィクスによって得られる免償】

 教皇ピウス10世はこのクルシフィクスによって得られる免償について、1905年6月1日、次のように宣言しました。

1. このクルシフィクスを身につける者は、免償を得ることができる。

2. 信仰心を持ってこのクルシフィクスに接吻する者は、免償を得ることができる。

3. このクルシフィクスの前で、「天にまします我らの父よ、我らが人に赦すごとく、我らの罪を赦したまえ」と唱え、あるいは「童貞マリアよ、我のために主なる神に祈りたまえ」と唱える者は、そのたびごとに免償を得ることができる。

4. このクルシフィクスを常に信心し、告解と聖体拝領の条件を満たす者は、次の祝日に全免償を得ることができる。すなわち、主の五つの御傷の祝日、聖十字架発見の祝日、無原罪の御宿りの祝日、聖母の七つの悲しみの祝日。

5. 死の床において教会の秘跡により強められた者、また秘跡を受けることができない場合であっても悔悛の心を持つ者は、このクルシフィクスに接吻し、自身の罪の赦しを神に求め、隣人の罪を赦すならば、全免償を得ることができる。


 さらに同年 11月 14日、ピウス10世は、このクルシフィクスによる免償が、現世に生きる人のみならず、煉獄にある魂にも有効であると定めました。

 当初、免償の期間は上記の項目ごとに異なりましたが、この違いは第二ヴァティカン公会議において廃止されました。




註 免償(めんしょう)あるいは贖宥(しょくゆう)とは、すでに赦された罪に関して、その償いを免除されることです。



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