リュドヴィク・ペナン、ジャン・バティスト・ポンセ作 美術品レベルの「不思議のメダイ」 アール・ヌーヴォー期の逸品 21.5 x 13.4 mm


突出部分を含むサイズ 縦 21.5 x 横 13.4 mm

フランス   19世紀末



 19世紀末のフランスで、ブロンズを使って制作された不思議のメダイ。聖母は右足に体重を掛けて左の膝を前に出したコントラポストの姿勢で表され、女性らしい優雅さを感じさせます。メダイ下部の球体に「フランス」(FRANCE) の文字が刻印されています。

 メダイ表(おもて)面において、球体上で蛇を踏み付ける無原罪の御宿り、聖母を取り巻く祈りの言葉、メダイ裏面において、「マリア・インマクラータ」(MARIA IMMACULATA ラテン語で「汚れ無きマリア」「無原罪のマリア」)を表す "MI" のモノグラム(組み合わせ文字)と二つの聖心、十二の星など、「不思議のメダイ」に必要とされる図像的要素は定型通りです。





 しかしながら本品のマリアを同時代の類品に比べると、微小なサイズにおいて成し遂げられた素晴らしい出来栄えに言葉を失います。上の拡大写真は実物の面積を百倍に拡大しています。定規のひと目盛りは1ミリメートルです。直径2ミリメートルに満たない顔には穏やかな表情が浮かび、1ミリメートルほどの手にはほっそりと美しい指、立体的な掌(てのひら)が再現されています。聖母の胸や腹部、腕や太腿の女性らしい丸み、自然に流れる衣の襞(ひだ)も、大型の浮き彫り作品に勝るとも劣りません。

 ふたりのメダイユ彫刻家、ペナン (Penin) とポンセ (Poncet) のサインが、メダイ表(おもて)面の最下部に、刻まれています。





 リュドヴィク・ペナン (Ludovic Penin, 1830 - 1868) は、19世紀前半以来四世代にわたってメダイユ彫刻家を輩出したリヨンのペナン家の一員です。豊かな才能を認められ、弱冠34歳であった1864年、教皇ピウス9世によりカトリック教会の公式メダイユ彫刻家 (graveur pontifical) に任じられましたが、惜しくもその4年後に亡くなりました。

 早逝の芸術家ペナンの作品は、同郷の芸術家ジャン=バティスト・ポンセ (Jean-Baptiste Poncet, 1827 - 1901) によっていわば「現代化」され、1870年代以降も愛され続けました。ジャン=バティスト・ポンセはペナンに比べて都会風に洗練された典雅な作風が特徴です。ペナンの没後にポンセが手を加えて「現代化」した作品には、ふたりの名前が併記されています。本品はその一例です。

 同時代の類品の縁が貨幣のように均一で正確な曲線を描くのに対し、本品の縁をよく観察すると、不規則に波打っていることに気付きます。これは技術的制約によるものでも摩耗によるものでもなく、非常に控え目な、しかし明らかなアール・ヌーヴォーの影響であり、19世紀末にポンセが関わることで実現し得たデザインです。本品は百年以上前にフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、たいへん良好な保存状態です。メダイの図柄は細部までよく残っており、突出部分の摩耗はごく軽微です。





本体価格 12,800円 販売終了 SOLD

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