稀少品 青色ガラスの台座付 銀製「不思議のメダイ」 白と青が聖母を象徴する作例 20.4 x 18.0 x 6.9 mm


金具を除く台座のサイズ 縦 20.4 x 横 18.0 mm  最大の厚み 6.9 mm

フランス  19世紀



 いまから百数十年前のフランスで制作された不思議のメダイ。小さな銀製メダイをガラスに封入したたいへん珍しい作例です。





 銀製メダイは 12 x 10ミリメートルと小さなサイズの楕円形で、表(おもて)面の中央には、打刻による浅浮き彫りで、バック通の聖母を刻みます。蛇を踏みつけて球体上に立つ無原罪の御宿りは、両手にはめた多数の指輪から、恩寵の光を地上に注いでいます。聖母の足元には出現の年号(1830)が打刻され、執り成しを願うフランス語の祈りが、高さ1ミリメートルに満たない極小の文字で、聖母を取り囲んでいます。

  Ô Marie conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à vous.  罪無くして宿り給えるマリアよ、御身に頼る我らのために祈りたまえ。





 銀の小メダイは上端と下端に突出した爪を折り曲げて、青色ガラス製の台座に留められ、融解した無色透明のガラスが掛けられています。透明ガラスは銀のメダイを被うとともに、台座の青色ガラスと完全に融着して一体化しています。


 西ヨーロッパ美術に描かれる聖母の衣装は、時代によってさまざまな色に描かれます。ポルトガルの聖女、ベアトリス・ダ・シルヴァ (Beatrix da Silva, 1424 - 1492) が幻視した聖母は、白い衣と青いマントを身に着けていました。聖母の衣におけるこの組み合わせは、十七世紀から十八世紀に描かれた「無原罪の御宿り」像に多く見られます。本品が制作された十九世紀のフランスでは、聖母が有する諸属性のうち、「無原罪の御宿り」が強調されたために、純白の衣装をまとって描かれる聖母像が増えましたが、これと並行して、従来通りの「白と青」の聖母もよく描かれていました。

 本品を少し遠くから眺めると、青色ガラスの台座に銀のメダイが載っている様子が、白い衣に青いマントを羽織る聖母の姿と重なります。それゆえ本品は白と青の組み合わせにより、全体として聖母を象徴していると考えることができます。

 また透明ガラスに保護され、硫化して黒ずむことのない銀製メダイが、恩寵に守られて原罪に汚されることのない聖母を象徴しているとも考えられます。銀のメダイを囲む青色は天空の色であるゆえに、本品は天に上げられた無原罪の御宿りをも象徴しています。天上にある聖母はイエスの右の座に着いて、地上の人々のために執り成しておられるのです。





 銀のメダイは全体がガラスに被われているために、台座から外れることは決してありません。また表面も全く硫化しておらず、制作当時のまま、清らかな光を保っています。

 透明ガラスはレンズ状に盛り上がっていて、表面には多数の小キズがあります。これらの小キズは肉眼で見ても識別できず、全く気になりません。





 小メダイは白銀色に強く輝いているうえに、透明ガラスの表面に上記の小キズがあるために、聖母像の細部を鮮明に撮影することができません。メダイの実物を顕微鏡か高倍率のルーペで観察すれば、恐ろしいまでに精緻な浮き彫りであることがお分かりいただけます。

 上の写真に写っている定規のひと目盛は一ミリメートルです。聖母の顔は直径 0.5ミリメートルの円内に収まりますが、実物をルーペで見ると、整った目鼻立ちがきちんと表されています。聖母は右脚に体重を掛けて左ひざを前に出し、コントラポストの姿勢を取っています。優雅な襞のある衣を通して、胸の膨らみや腹部と腿の丸みなど、女性らしい体つきが美しく表されています。聖母は裸足で、足の指まで表現されています。聖母に踏み付けられた蛇は、身を捩って苦しんでいます。





 不思議のメダイは、ルルドのメダイとならんで、これまでに最も多くの数が作られたメダイです。それだけに同じようなメダイがたくさんあるのですが、ときにはたいへん珍しい作例が見つかることがあります。各地に出現した聖母のメダイ 一覧表示インデックスをご覧いただければわかりますが、筆者(広川)がこれまでに出会った「不思議のメダイ」のなかでも、本品は非常に珍しい作例です。通常の金属製メダイには使えない「色彩による象徴言語」を、銀と色ガラスの組み合わせによって実現しています。

 本品は百数十年前のフランスで制作された真正のアンティーク品ですが、十分に良好な保存状態です。透明ガラスの表面に小キズがありますが、肉眼で見る透明度を損なうようなものではありません。本品を裏返すと、ブロンズの環を取り付けた基部が破損しているように見えますが、これはおそらく本品が作られた当初からのもので、強度上の問題はありません。ブロンズの環はガラスの台座にしっかりと固定されており、抜け落ちることはありません。





本体価格 18,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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