《サンクタ・マリア・ゴレッティ》 《教皇ピウス十二世》 列聖記念メダイ 細部の摩滅によって生命力を獲得したアンティーク美術品 1950年


突出部分を除く直径 18.6 mm



 いまから七十年前の 1950年、マリア・ゴレッティが列聖された際に制作された記念メダイ。第二ヴァティカン公会議以前の時代に作られたゆえに、周囲に刻まれた銘はラテン語によります。





 1902年7月5日、当時十一歳であったマリア=ゴレッティは、近所に住む青年から性的暴行を受けそうになり、抵抗のあげく天に召されました。その後加害青年の夢に現れたマリアは、百合の花を差し出して青年を赦し、青年は悔悟の涙に暮れたと伝えられます。

 本品メダイの浮き彫りにおいて、少女マリアは青年の夢に現れたときと同様に、白い衣を着、白百合の花園に立っています。マリアは胸の前に手を合わせ、百合の花と、殉教者の勝利を讃えるナツメヤシの葉を抱いています。サンクタ・マリア・ゴレッティ(S. MARIA GORETTI 聖マリア・ゴレッティ)の文字が、少女を囲むように刻まれています。





 白百合は永遠の処女である聖母マリアの象徴であり、聖母に倣って純潔を守ろうとして亡くなった少女マリア・ゴレッティの徳を讃えています。

 「雅歌」二章一節(羅 Sicut lilium inter spinas, sic amica mea inter filias. おとめたちの中にいるわたしの恋人は、茨の中に咲きいでたゆりの花.)のキリスト教的解釈に基づき、百合は神による選びの象徴とも考えられています。マリア・ゴレッティを囲む百合は、マリアがその信仰ゆえに神によって選ばれ、殉教者の列に加えられたことを表しています。


 本品は突出部分が摩滅して、優しい丸みを帯びています。そのせいで細部が幾分ぼやけた浮き彫りは、加害青年の夢の描写としてふさわしいだけでなく、浮き彫り作品とそれを鑑賞する我々との間に対話を成立させてくれます。

 細部まで克明に描写された作品を見るとき、ともすれば我々は研究者の視点で作品を観察してしまう危険があります。美術史家のような研究者は、あたかも解剖を行うように作品を要素に分解し、観察と分析を行います。その場合、研究者は作品を鑑賞しているのではなく、観察しているのです。しかるに細部が摩滅したアンティーク美術品の場合、我々は無意識のうちに想像力を駆使し、失われた細部を思い描きます。このとき鑑賞者と美術品との間には人格的関係が成立します。鑑賞者と摩滅した美術品の間には、想像力による対話が成立するのです。細部の摩滅と引き換えに、本品は美術品としての生命力を獲得しているのだといえます。





 本品メダイのもう一方の面には、マリア・ゴレッティを列聖した教皇ピウス十二世の横顔が、写実的な浮き彫りで表されています。教皇ピウス十二世(羅 PIVS XII, PONTIFEX MAXIMUS)の銘が、浮き彫りを囲んでいます。この銘は、U の代わりに V を使う古体のラテン語で記されています。





 ピウス十二世は在位期間が長く、マリア・ゴレッティをはじめとする何人もの人物を列福、列聖したほか、聖母の被昇天をローマ司教座から宣言し、カトリック教会の正式な教義としたことでも知られています。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。





 本品は突出部分が摩滅して優しい丸みを帯びるとともに、銀色の剥落によって素材の真鍮が露出し、温かみのある金色を呈します。これらの特徴は本品が長い年月をかけて獲得した美しい古色であり、真正のアンティーク品のみが備えうる歴史性の可視化です。マリアはカトリック教会最年少の聖人で、少女の守護聖人として知られますが、この聖人のメダイや聖画は列福、列聖の際以外は製作されていないと思われ、入手困難な希少品としても高い評価に値します。





本体価格 11,500円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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