極稀少品 フランスの芸術メダイユ 《天使と葡萄と聖フランチェスカ・ロマーナ》 日々の生活に到来する神の国 大型の作品 直径 41.0 mm 二十世紀中頃または後半


突出部分を除く直径 41.0 mm  厚さ 3.3 mm

重量 27.7 g



 二十世紀半ばのフランスで製作された聖フランチェスカ・ロマーナ(ローマの聖フランチェスカ Santa Francesca Romana, 1384 - 1440)のメダイ。直径四十ミリメートルを超える非常に大きな作品で、優れた芸術性を有します。





 聖フランチェスカ・ロマーナは教会大分裂の時代に生きたローマ貴族の女性で、深い信仰に基づく献身的な慈善の業で知られます。本品は聖女の横顔を大きく浮き彫りにし、奉献者会会員が被ったベネディクト会のウィンプラ(羅 WIMPLA 頭巾)で取り囲んでいます。周囲にラテン語で「サンクタ・フランキスカ・ローマーナ」(羅 SANCTA FRANCISCA ROMANA 聖フランチェスカ・ロマーナ)の文字を記しています。

 ラテン語サンクタは動詞サンキオー(羅 SANCIO)の分詞形、詳しく言うと完了分詞サンクトゥスの女性単数主格形です。ラテン語サンキオーは「(神や貴人に)随行する」「敬意を捧げる」が原意で、ラテン語セクオル(羅 SEQUOR 付き随う)、同ソキウス(羅 SOCUIS 仲間、友人)、サンスクリット語サク(梵 sac/sak 共にある、付き随う)、同サキス(梵 sakis 友人)と語根が共通しています。ギリシア語ハギオス(希 ἅγιος 神に捧げられた)、同ハグノス(希 ἁγνός 清らかな、純粋な)も同根です。





 私がなぜサンキオー、サンクトゥスの語根に言及したのかというと、「聖…」という称号を聞いたとき、我々は俗なる自分とは無縁の聖なる人、無原罪のマリアのように清らかな人を思い浮かべがちです。しかしながらサンクトゥス、サンクタの語根は単に「付き随う」という意味であって、その潜在的語義には聖から俗に亙る広い幅があります。ラテン語の段階では、サンクトゥス、サンクタは我々が通常思い浮かべるような「神に捧げられた人」「清らかな人」という意味が支配的です。しかるに印欧基語あるいはサンスクリット語まで遡れば、サンクタの語根には「我々と共にある人」「友人」という意味が隠されています。





 本品メダイに浮き彫りにされたフランチェスカは若々しく、家庭の妻であった頃の聖女を髣髴させます。フランチェスカはウィンプラを被っていますが、中世においてウィンプラは普通の女性の被り物であり、必ずしも職業的宗教者であることを意味しません。

 フランチェスカ・ロマーナは四十年間に亙って妻であり、母であり、主婦でした。俗人とかけ離れた隠者や尼ではなく、一般市民と同様の暮らしを送るごく普通の女性だったのです。フランチェスカは俗人の身分のまま敬虔な信仰を実践し、市中に出て行って貧者と病者の友人となり、慈善の業に身を捧げました。またフランチェスカは、自分と同じような家庭の主婦たちに対して信仰と慈善を呼びかけ、同志友人とともに奉献者会を作りました。神の御心に適う生き方をした普通の女性フランチェスカは、神に捧げられた人という意味においても、我々と共にある人という意味においても、サンクタ・フランキスカ(サンタ・フランチェスカ)と呼ぶのに相応しい人物です。





 本品メダイの浮き彫りにおいて、聖女は目を閉じ、祈りの内に神の意思を確かめようとしています。

 「聖」という漢字は、祈りの言葉を表す「口」、神意を聴く「耳」、背伸びをした人の象形である「壬」から成り立ちます。聖女の前には神の使い(天使)が彫られていて、祈りの内に耳を澄ますフランチェスカに、神の御心を伝えています。


 フランチェスカの後ろには、葉を落とした冬枯れの葡萄と、たわわに実った果実が彫られています。ある年の一月、森で木を伐っていた奉献者会の会員たちは渇きを覚えましたが、飲む物がありませんでした。フランチェスカは冬枯れの葡萄の木に近づくと、瑞々しい葡萄を取り出し、会員たちに配ったと伝えられます。

 この奇跡譚において、たわわに実った葡萄の果実は神が下さる物質的恩恵を表すとともに、キリストが贖い給う生命(「ヨハネによる福音書」 15章 1 - 10節)をも象徴しています。冬枯れの葡萄の木は十字架上に死せるキリストの象徴であり、フランチェスカがそこから摘み取った瑞々しい果実は、永遠の生命の形象化に他なりません。

 葡萄の果実は神の国、すなわち活きた信仰の象徴(「イザヤ書」 5章 1 - 10節、「マタイによる福音書」 21章 33 - 44節)でもあります。枯れていると見えた木から果実が得られた出来事は、一般社会で生活する俗人のうちにも神の国が到来し得ることを目に見える形で示しており、市井の女性として日々を過ごした聖女に相応しいアトリビュート(英 attribute 聖人のアイデンティティを示す持物)です。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真よりもひと回り大きなサイズに感じられます。





 本品の浮き彫りは、神の声に耳を澄ませば、俗世の日常生活のうちに神の国が到来することを、高い芸術性を以て表現しています。本品は身に着けることができる美しいメダイユであるとともに、後世に伝えるべき優れた工芸作品でもあります。

 本品は数十年前のフランスで制作されたヴィンテージ品(アンティーク品)ですが、大切に保管され、極めて良好な保存状態です。突出部分にも摩滅は無く、たいへん美しい状態です。実用上、美観上とも、特筆すべき問題は何もありません。

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本体価格 35,800円 販売終了 SOLD

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