地上を旅する者の庇護者 聖クリストフ 山道を駆け上がるクラシック・カーのメダイ 10.9 x 9.5 mm


縦 10.9 x 横 9.5 mm

フランス  1920年代頃



 ヤコブス・デ・ヴォラギネの聖人伝、「レゲンダ・アウレア」("LEGENDA AUREA") に収録された伝承にしたがって、幼子イエズスを背負う聖クリストフを刻んだメダイ。珍しい七角形のシルエットは、窓のカーテンを両側に開いた様子を象(かたど)り、聖人伝のエピソードがあたかも眼前に展開するかのように感じさせます。





 怪力無双の渡し守クリストフは立木を引き抜いて杖にしていますが、肩に載せた幼い男の子が急に重くなったので、問いかけるような面持で男の子を見上げています。男の子の重さを支えるために、大男クリストフの全身は筋肉が張り詰め、盛り上がっています。肩の上の男の子は全宇宙の支配権を示すグロブス・クルーキゲル(世界球)を左手に持ち、右手で天を指さして、自分が天地の造り主、神なる幼子イエズス・キリストであることを宣言しています。

 強い向かい風のせいで、クリストフの脚に衣が張りつき、肩のあたりの布も体を離れてはためいています。荒々しい自然の迫真的描写は、地上を旅する教会、人間と、それを庇護したまう神の限りなき恩寵を、巧みに表しています。

 本品は指先に載る小さなサイズに関わらず、幼子イエズスも聖クリストフも、大型の彫刻作品に勝るとも劣らない均整のとれた人体表現に成功しています。





 中世以来、クリストフの絵や像を見た者は、その日のうちに「悪(あ)しき死」、すなわち臨終の場に司祭が立ち会わない突然の死に遭うことが無いと信じられています。それゆえクリストフのメダイには人気があって、さまざまな作品が作られています。聖人と幼子イエズスの仕草や表情、周囲の風景描写、裏面のデザインなどを比べて鑑賞するのが、この聖人のメダイに出会ったときの楽しみです。

 この作品において、遠景に見える山らしきもの、聖人の脚に当たって逆巻く水、衣を大きく膨らませはためかせる強風は、古代ギリシア以来、大自然のストイケイア(四元素)とされた地水火風を表しています。神が造り給うたナチュール(自然)のただなかで、圧倒的な力に立ち向かう聖人クリストフと、聖人を祝福する天地の創造主の姿を置くことにより、突然の死から守ってくれるメダイとして、このうえなくふさわしい作品に仕上がっています。


  参考画像 聖クリストフの札 手彩色木版画 (南ドイツ、1423年) 家に張るためのもの。絵の下部に書かれているラテン語は次のとおり。

Christofori faciem die quacumque tueris, illa nempe die morte mala non morieris.   クリストフォロスの顔を見れば、その日は決して悪しき死に遭うことがない。





 メダイの裏面には、現代、すなわちこのメダイが制作された1920年代の自動車が、山道を駆けあがる姿が刻まれています。遠景にはフレンチ・アルプスのような山並みと教会堂らしき建物が見えます。山道は舗装されていないために、前輪の接地面からは小さな土煙、後輪の接地面からは大きな土煙が上がる様子が、巧みな浮き彫りで再現されています。





 このメダイはおよそ90年前のフランスで鋳造された作品で、この時代の品物のとしては特筆すべき問題の無い保存状態です。商品写真は実物の面積を 120倍に拡大しているため、突出部分の磨滅がよく判別できますが、肉眼で実物を見ても気になりません。





本体価格 4,500円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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