極稀少品 ピウス九世による列聖記念メダイユ 《聖ペドロ・バウチスタと二十二名の聖人たち 1597年、ヤポニアにおける殉教者》 大型の作例 36.8 x 28.0 mm 1862年


突出部分を含むサイズ 縦 36.8 x 横 28.0 mm  最大の厚さ 4.0 mm

重量 11.7 g


イタリアまたはフランス  1862年



 一方の面に日本二十六聖人を、もう一方の面に教皇ピウス九世を浮き彫りにしたブロンズ製メダイユ。日本二十六聖人が列聖されたのを記念し、イタリアまたはフランスで 1862年に制作された大型の作品です。縦三十七ミリメートル弱、横二十八ミリメートル、厚さ四ミリメートルのサイズ、五百円硬貨と百円硬貨を合わせた重量があって、手に取ると心地よい重みを感じます。





 日本二十六聖人とは、1597年12月19日、長崎の西坂丘において、キリスト教信仰を理由に処刑された二十六人のキリスト教徒のことです。この二十六人は、豊臣秀吉の命によって京と大坂で捕縛された二十四名に、途中で縄目に掛けられた二名を加えたキリシタンたちで、十二、十三、十四歳の少年たちをはじめ、多数の若者を含んでいました。二十六名は全員男性で、三名がイエズス会関係者、残り二十三名がフランシスコ会関係者でした。二十六名のうち六名は外国人で、その全員がフランシスコ会の司祭及び修道士でした。

 日本二十六聖人は 1627年にウルバヌス八世により列福、1862年にピウス九世により列聖されました。日本二十六聖人の祝日は二月六日です。


 本品は 1862年 6月 8日、ローマにおいてピウス九世が日本二十六聖人を列聖した際に、イタリアまたはフランスで制作されたフランシスコ会の記念メダイです。1862年は幕末に当たり、わが国ではキリシタン禁教が続いていました。

 日本二十六聖人の殉教に使われた十字架は、長崎の町に向かって横一列に並べて立てられましたが、本品に浮き彫りにされた十字架は、楕円形メダイの形状に合わせて奥行きのある配置となっています。殉教者たちは修道士のような長衣を着、両手首と腰のあたりが縄で十字架に縛り付けられています。中央の十字架に刑吏が近づき、殉教者を長槍で刺し殺しています。長槍は殉教者の右脇腹から左肩の上へ貫通しています。手前の地面にはこれから立てられる十字架が置かれ、二人の刑吏が殉教者を縛り付けようとしています。





 殉教者たちの浮彫を囲むように、次の言葉がラテン語で刻まれています。

      SANCTI PETRUS BAPTISTA ET ALII 22 SOCII MARTYRI IN JAPONIA ANNO 1597     聖ペドロ・バウチスタと二十二名の殉教聖人 1597年、ヤポニアにおける殉教者


 ヤポニア(JAPONIA)はラテン語で日本国のことです。このメダイに記念されているのはバウチスタ師に二十二名を加えたフランシスコ会関係者二十三名です。これにイエズス会の関係者三名を加えた二十六名の殉教者が、「日本二十六聖人」として同時に列聖されました。





 もう一方の面には教皇ピウス九世がたいへん立体的な浮彫で表されています。教皇を取り巻くように、次の言葉がラテン語で刻まれています。

      PIUS IX PONTIFEX MAXIMUS ELECTUS 16 JUNIO 1846.     1846年6月16日に教皇に選ばれたるピウス九世






 ピウス九世(Pius IX, 1792 - 1846 - 1878)は使徒ペトロを除けば最も長い期間ローマ司教を務めた人物で、1854年に無原罪の御宿リを、1870年に教皇の不可謬を、聖座(ローマ司教座)から宣言したことで知られています。教皇に選ばれる前は進歩的な人物として知られましたが、教皇就任後は一転して反動的になりました。1864年12月8日の回勅「クアンタ・クーラ」("QUANTA CURA")に含まれる「誤謬表」(SYLLABUS ERRORUM)はピウス九世の反動主義の象徴で、自然主義、合理主義、汎神論、高等批評、社会主義、共産主義、信教の自由など、あらゆる近代思想を批判し、「異端」として断罪する教皇の姿勢には、近代思想に対してカトリック教会が感じてきた脅威が良く現れています。また当時は帝国主義の時代であり、各地で戦争が行われていました。カトリック教会はこれら近代主義や戦争に対抗するため、ノートル=ダム・ド・フランスノートル=ダム・ド・ラ・ガルドをはじめとする巨大な聖母像を各地に建設します。それらは「ヨハネの黙示録」十二章において竜、すなわち教会の敵である悪魔を打ち負かす力強い聖母の姿でした。





 このメダイは百五十年以上前に制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず保存状態は良好です。両面の浮き彫りはいずれも立体的ですが、摩滅せずに細部までよく残っています。

 異教国の為政者がキリスト教に対する最後の抵抗を試みるなか、殉教者たちの信仰と勇気を称えるこのメダイは、「キリスト者の血は種である」(羅 semen est sanguis Christianorum. - Tertullianus, "Apologeticus", caput L)というテルトゥリアヌスの言葉を思い起こさせるとともに、東西文明交流史の実物資料としても貴重な品物となっています。





28,800円 販売終了 SOLD

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