一点もの 1949年3月19日、着衣式記念

「おとめはその産みし子を拝せり」 アニェス修道女による聖母子の手描きヴィンテージ小聖画


115 x 72 mm  フランス



 ベツレヘムに降誕した救い主イエズス・キリストと、生まれたばかりのイエズスを拝する聖母マリアを、深い青を背景に水彩で描いた美しい聖画。ちょうど18世紀のカニヴェにも似て、絵、文字ともまったくの手描きによって、ただ一点のみ制作された作品です。淡いシアン(空色)の紙を背景に、手を取り合って愛を通わせ合う聖母子の姿を、心を洗うように清潔な青、白、黄、金、肌色を用いて描き出しており、この絵を描いた修道女、スール(シスター)・アニェスの純粋で温かい心がにじむ作品となっています。





 聖画の下には次の言葉が記されています。言語はフランス語で、美しい韻を踏んでいます。

  Celui qu'elle a enfante la vierge l'a adore.  おとめはその産みし子を拝せり。

 上で「拝する」と訳したフランス語の動詞「アドレ」(adorer) は、ラテン語「アドーラーレ」(ADORARE) に由来します。「アドーラーレ」の原意は「語りかける」ということですが、これに宗教的な色彩が加わり、「神に懇願する」「祈り求める」という意味にも使われるようになりました。「祈る」にあたるラテン語にはもうひとつ「ウェネレラーリー」(VENERARI) がありますが、「アドラーレ」はこれよりもずっと強い意味の言葉で、ちょうどギリシア語の「プロスキュネオー」(προσκυνέω 神の前に身を投げ出す、ひれ伏して祈る)に相当します。 その一方で、「アドーラーレ」から宗教色が脱落した用法もあり、この場合は「非常に強く愛する」という意味になります。





 ラテン語「アドーラーレ」におけるこのふたつの意味合いは、フランス語「アドレ」にもそのまま受け継がれています。「おとめが子を拝せり」(la vierge l'a adore) というとき、それは全身全霊を捧げ切った敬神と、地上の何よりも強い母の愛を表します。アニェス修道女がこの聖画を描くのにシアンの紙を選んだのも、空の色であるシアンが天国の象徴であるとともに、ブリュ・マリアル bleu marial (マリアン・ブルー Marian blue)がマリアを表し、イエズスを愛するマリアの愛を自然に想起させるからでしょう。

 アニェス修道女は聖画の裏面に次の言葉を記しています。

  Il n'y a pas de veritable Amour sans souffrances!  苦しみ(あるいは忍耐)を伴わない真の愛など存在しない!

  Prise d'Habit, 19 mars 1949, Sœur Agnes  1949年3月19日 着衣式 スール・アニェス


 聖アニェス(聖アグネス)は303年、キリストへの愛ゆえに12歳で殉教したとされるローマの聖女で、少女、貞潔を守る女性、性的暴行の被害者、マリアの子ら信心会の守護聖人です。アニェス修道女はこの聖女を理想としたのか、あるいは聖アニェスの祝日である1月21日生まれで、俗名もアニェスであったのでしょう。

 第二次世界大戦下のフランスで困難な少女時代を過ごしたであろうこの女性は、この戦争で両親、家族を亡くしていたかもしれません。戦争終結後間もない1949年に修道生活に入った後、アニェス修道女はどのような人生を歩んだのでしょうか。

 この聖画には良質な中性紙が使われているため、紙質の劣化は見られません。その他の点でも特筆すべき問題は無く、全体的にたいへん良いコンディションです。





9,500円 (税込・額装別) 販売終了 SOLD

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額装のサンプル写真 1 壁掛け式額縁 14,700円 ※ 額の価格にはベルベット張りマットを含みます。ベルベットの色はご希望に応じます。




額装のサンプル写真 2 高級写真立て 6,800円 ※ 額の価格にはベルベット張りマットを含みます。ベルベットの色はご希望に応じます。






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