パピエ・ヴェルジェの小聖画 《アビラの聖テレサの脱魂 83 x 61 mm》 インタリオに手彩色 簡易な額装付き フランス 十九世紀後半


額のサイズ 縦 175 x 横 127ミリメートル  額縁の厚み 11ミリメートル

小聖画のサイズ 縦 83 x 横 61ミリメートル



 十九世紀後半のフランスで制作された素朴な小聖画。名刺よりも一回り大きく、アビラの聖テレサを描いています。裏面は白紙です。

 小聖画のサイズは、青く着色された部分が縦 64ミリメートル、横 43ミリメートルです。聖画にはバーガンディのベルベットを使用して簡易な額装を施しています。額は自立式です。





 アビラの聖テレサ(Santa Teresa de Ávila, 1515 - 1582)はイエスのテレサ(Teresa de Jesús)と名乗ったカルメル会の修道女で、四人しかいない女性教会博士のひとりです。アビラの聖テレサ(イエスの聖テレサ)は十字架の聖ヨハネとともに跣足カルメル会の創立者として知られています。アビラの聖テレサの祝日は10月15日です。

 本品小聖画において、テレサはカルメル会の修道女の服装、すなわち白のウィンプル、茶色の修道衣、黒の頭巾を身に着け、眼差しを真っ直ぐに神へと向けています。テレサの背後に表現された雲は、聖女が地上に居ながらにして至福直観(羅 BEATA INTUITIO)、すなわち神との合一を体験するさまを表しています。





 本品の紙は十九世紀まで使われた無酸のパピエ・ヴェルジェ(仏 papier vergé)です。ウォーターマークは見当たらないので製紙工房と年代は不明ですが、聖女像の下にインタリオで刻まれたサント・テレーズ(仏 Ste Thérèse)の字体に基づき、聖画の制作年代は十九世紀半ばから後半と判断できます。

 聖女像とそれを取り巻く枠は素朴な風合いですが、グラヴュール(仏 gravure エングレーヴィング)とオー・フォルト(仏 eau forte エッチング)にメゾチント用ロッカーを組み合わせてインタリオ(伊 intaglio 凹版による版画)を制作し、その上から水彩で着色しています。色がはみ出た部分はほとんど無く、一見したところ石版で着色したように見えますが、実際にはたいへん丁寧に手彩色が施されています。

 本品に使われている水色顔料はわずかに緑味が感じられ、フタロシアニンに似た色合いです。しかしながらフタロシアニンが使われるようになるのは 1935年以降ですので、インタリオの制作と水彩の着色がほぼ同時であるとすれば、本品の青はフタロシアニンではなく、プロイセン青(独 preußisch Blau)を明るく調色して使っているのでしょう。プロイセン青はフランスではパリ東郊モントルイユ(Montreuil)にあるアルディ=ミロリ社(Hardy-Milori, 1852 ; E. Hardy-Milori et G. Rémond et Compagnie, 1877)の工場で生産されていました。





 本品は良質の無酸紙に刷られており、変色は見られません。おそらく百五十年以上前に制作されたアンティーク品であるにもかかわらず、本品の保存状態は極めて良好です。特筆すべき問題は何もありません。

 下記の価格は額装料金を含みます。ベルベットの色は青、ベージュ、黒に無料で変更できます。額の変更についてはご相談ください。





本体価格 9,500円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




アビラの聖テレサのアンティーク小聖画 商品種別表示インデックスに戻る

カニヴェ、イコン、その他の聖画 一覧表示インデックスに戻る


聖人のアンティーク小聖画 商品種別表示インデックスに移動する

キリスト教をテーマにしたアンティーク小聖画 商品種別表示インデックスに移動する

カニヴェ、イコン、その他の聖画 商品種別表示インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS