極稀少品 聖顔の守護の十字架 教皇レオ13世による「聖顔の大信心会」認可記念 トゥール、1885年 35.4 x 21.7 mm


突出部分を含むサイズ 縦 35.4 x 横 21.7 mm

フランス  1885年



 「トゥールの聖者」レオン・パパン・デュポン (Vénérable Léon Papin Dupont, 1797 - 1876) が1851年に自宅で創始した信心会が、1885年、教皇レオ13世 (Leo XIII, 1810 - 1878 - 1903) によって正式に認可され、「聖顔の大信心会」(l'Archiconfrérie de la Sainte Face) となったことを記念して製作された総主教十字 (Croix patriacale)。この信心会に特有の総主教十字の一種、「聖顔の守護の十字架」を基に、認可記念の特別なデザインに変えた稀少品です。

 「聖顔の守護の十字架」と同様に、本品の中央交差部にはロブ(lobe 四つ葉形)と正方形を組み合わせた図形を配し、繰り型を思わせる縁取りでこれを囲っています。さらに各先端部もロブで終わっていて、ヨーロッパの紋章を想起させるクラシカルなデザインとなっています。

 このクロスにはイエズスの聖顔とともにいくつかの言葉が彫られています。まず、クロスの一方の面には、中央交差部にイエズスの聖顔 (la Sainte Face) が転写された聖遺物「ヴェロニカの布(きぬ)」が浮き彫りにされ、次の言葉がラテン語で記されています。

  OSTENDE FACIEM TUAM, ET SALVI ERIMUS.   御身が聖顔を示したまえ。さすればわれら救わるるべし。





 伝承によると、十字架を担いでゴルゴタへの道をたどるイエズスに、聖女ヴェロニカが布を差し出し、イエズスがその布で汗を拭いたところ、イエズスの聖顔 (la Sainte Face) が奇蹟によって布に転写されたといわれています。聖遺物「ヴェロニカの布」または「マンディリオン」(Mandylion) は、ヴァティカンのサン・ピエトロのバシリカをはじめ、数か所の聖堂や修道院に伝えられています。




(上) Hans Memling, "Diptychon mit Johannes dem Taufer und der Heilige Veronika, rechter Flügel", um 1470, Öl auf Holz, 32 × 24 cm, The National Gallery of Art, Washington D. C.


 イエズスを十字架で苦しめたことへの償い、贖罪の業を行う信心会等において、「聖顔」への信心は大きな意味を持ちます。トゥールの尊者レオン・パパン・デュポンは、聖顔への信心を広めるべく30年間に亙って教会当局と交渉を続けたことにより、「イエズスの聖顔の使徒」(L'Apôtre de la Sainte Face de Jésus) とも呼ばれます。1876年にデュポンが亡くなると、その居宅はトゥール大司教区によって買い取られて改装され、「聖顔の小礼拝堂」(l'Oratoire de la Sainte Face) とされました。デュポンが「イエズスの聖顔」への信心を目的に居宅で創立した会は、1885年に教皇レオ13世によって認可されました。本品はその記念の品です。



 もう一方の面では、交差部の中央に円を置き、ギリシア文字によるイエズスのモノグラム(IHS イオタ、エータ、シグマ)をその中に記します。

 キリスト教図像において、完全な図形である円は神のおわす天上を表します。キリスト教の聖堂建築、わけてもロマネスク聖堂において、アプス(後陣)のプランが聖堂東端から半円状に突出し、また聖堂上部にドームや穹窿(円天井)が架けられるのは、これらの部分が神の座なる天を象徴するからに他なりません。したがってこの十字架においても、円の中にある "IHS"は、受難の後昇天し給うたイエズスが、いまは天の玉座にて万物を主宰し給うことを表しています。





 "IHS" の下側には「レオ13世」(LEO XIII) と記されています。上側には "PRO UNIQUE" と書かれているようですが、意味は不詳です。

 十字架にはフランス語で「聖顔の大信心会、トゥール、1885年」(archiconfrerie de la Sainte Face, Tours, 1885) と書かれています。聖顔の大信心会は、当時はまだ少女であったリジューの聖テレーズ (Ste. Therese de Lisieux, 1873 - 1897) の一家が、1885年の認可直後に入会したことでも知られています。

 本品は130年近く前に制作された真正のアンティーク品ですが、非常に古い年代にもかかわらず、保存状態は極めて良好で、細部に至るまでほぼ完全な形で残っています。1885年のトゥールという限られた年度、場所でのみ制作・鋳造された非常に稀少な総主教十字です。





18,800円 販売終了 SOLD

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