一点もの 繊細な手作業による線細工 地中海サンゴのアンティーク・クロス 44.0 x 27.4 mm


十字架本体のサイズ 縦 44.0 x 横 27.4 mm

吊り下げたときの、上部の金具を含めたサイズ 縦 56.5 x 横 27.4 mm


北イタリア  19世紀から 1933年



 たいへん繊細な線細工によるクロス。北イタリアで作られた品物です。年代は19世紀から 1933年頃で、交差部に地中海サンゴのカボションが嵌め込まれています。縦木の下方に三つの刻印があります。





 複雑なパターンの線を多用した透かし細工の金属製工芸品には、「網状の金属シートを利用して線細工に似せた製品」と、「針金を曲げて制作した真正の線細工」の二通りがあります。後者は一つひとつの細かい部品から手作りされるため、制作に非常な手間がかかります。それゆえ金属製の透かし細工には網状の金属シートが使われるのが普通です。しかしながら本品は太さが異なる二種類の針金を用いた真正の線細工で、職人の手作りによる完全な一点ものです。本品の制作は次のような工程で行われています。

 1. 細い針金をねじってミル打ち状のパターンを作り出す。

 2. 太い針金で十字架形の外枠を作り、中央交差部を太い針金の円形部品で補強する。縦木と横木も太い針金の部品で補強する。

 3. 1.の針金を巻いて適切なサイズの部品を作り、2.の枠に鑞付け(ろうづけ 溶接)しながら枠内の空間を一つずつ埋めてゆく。

 4. 断面が円形の針金を固く巻いてバネ状の部品を作り、これを直径 3ミリメートルほどのドーナツ状に閉じる。この上に金属の小球を鑞付けし、小さな花のような部材四個を制作する。

 5. 3.の十字架の四か所に、4.の部材を鑞付けする。

 6. 5 x 3ミリメートルにカットした地中海サンゴのカボションを用意する。金属のリボンに花弁状のフリルを付け、これをベゼルに用いてサンゴを覆輪(ふくりん ベゼル)留めする。

 7. 細い針金を丁寧に撚り合わせてロープとし、リボン状ベゼルに巻き付けて、端を鑞付けで閉じる。この部材を 5.の十字架の交差部に鑞付けする。

 8. 十字架の頂部に環を鑞付けし、別に作った線細工の吊り輪と繋げる。

 9. 金めっきを施す。






 以上のように手間のかかる工程を経て丁寧に制作された本品は、贅沢な一点ものです。特に交差部の円形装飾は、針金をただ巻いているのではなく、あたかもゴシック聖堂の薔薇窓のような作りになっていて、一つの品物に惜しみなく費やされた労力に驚かされます。本品に籠められた時間と手間は、古き良き時代のアンティーク品のみが持つ贅沢さです。

 本品に使われている金属の種類は不明です。縦木の下方に三つの刻印がありますが、明らかに銀を示すマークは判別できないので、ブロンズであろうと思います。しかしながらファシスト政府が成立する以前のイタリアには銀製品にホールマークを刻印する義務が無かったので、本品が銀製である可能性も捨てきれません。

 交差部のカボションはガラス等の人工石ではなく、天然のサンゴです。顕微鏡または高倍率のルーペで見ると、サンゴ特有の成長線が観察できます。





 本品は北イタリアで制作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらず、保存状態は極めて良好です。デザインは繊細ですが、しっかりと丁寧に溶接されていますので、丈夫さの点でも問題ありません。末長くご愛用いただけるアンティーク・ジュエリーです。





28,800円 販売終了 SOLD

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