フランス北西部、ソミュール (Saumur) で 1906年に創業したメダイユ工房の老舗、マルティノー (Societe Martineau)
が制作した十字架。オフホワイトの不透明ガラスと、ブルーの透明ガラスのエマイユが清楚な美を見せています。
交差部には、果てしない蒼穹(青空)のように透明感あるエマイユに、キリストを象徴するギリシア文字「キー」(X) と「ロー」(P) のモノグラム(組み合わせ文字)、クリスムが浮かんでいます。蒼穹の青が天国の象徴であることを考えると、このクロスは復活後に昇天したイエズスの、死に対する勝利を表していると考えられます。また白と水色はそれぞれ聖母の衣とマントの色でもありますから、このクロスをマリアとすると、イエズスを胸に抱く聖母子像として象徴的に解釈することもできます。白と青のデザインによるこの美しいクロスは、これらふたつの意味を込めて製作されたのでしょう。
本品は台紙に付いたままの、未販売の新品(デッドストック品)です。近年のものであり、アンティーク(ヴィンテージ)品ではありませんが、現在これと同じ物を手に入れることはできません。