グリーン・ゴールド
green gold






【各種の金合金とその色】

 純粋な金 (Au) はモース硬度(ひっかき硬度)2.5とたいへん軟らかく、展延性に富んで変形しやすいので、時計やジュエリーのような実用品に使うことができません。金の強度を増して実用できるジュエリーを作るには、金に他の金属を混ぜて純度を落とし、合金とします。たとえばわが国でよく使われる金の純度は 18/24(すなわち 75%)で、この純度の金合金を「18カラット・ゴールド(18K, K18)」「十八金」と呼んでいます。

 金合金の色は、添加する金属の種類と配合によって変化します。主な合金における主要成分を簡易に示すと、下表の通りです。

イエローゴールド .. 金+銅+銀
ピンクゴールド 金+銅
ホワイトゴールド 金+ニッケル
グリーンゴールド 金+銀


 グリーン・ゴールドの緑色が最も強くなるのは、合金に含まれる金 (Au) と銀 (Ag) がモル数においてほぼ等しいとき、すなわち金原子と銀原子の数がほぼ一対一であるときです。いま金の原子量を 196.9666 g/mol、銀の原子量を 107.8682 g/mol とすると、最も緑色が濃いグリーン・ゴールドを作るには、合金中に含まれる金の重量パーセントを約 64.61パーセントとすればよいことがわかります。これをカラットに置き換えると、15.51カラット・ゴールドとなります。すなわち

  Auの原子量 ÷ (Auの原子量 + Agの原子量) × 100 = 64.61

  また、 24 × 0.6461 = 15.5064


【古代の金】

 純金は可視域の中ほどから赤外域の波長の光をよく反射するので黄色がかって見えます。ところが古代の金は純度が低く、概ね20%以上の銀との合金となっています。銀は可視光の全域にわたってほぼ偏り無く光を反射しますから、銀が混じった金の反射は本来よりも短波長側にずれて、必然的に緑色がかった色になります。

 緑色がかった古代の金は、ギリシア語起源のラテン語で「エーレクトルム」(ELECTRUM) と呼ばれますが、これは本来「琥珀(こはく)」(ギリシア語で「エーレクトロン」 ἤλεκτρον)のことです。琥珀には緑色がかったサンプルが多くあります。(註1)


【アンティーク・ジュエリーに使われるグリーン・ゴールド】

 グリーンゴールドは自然金(天然に産出する金)に多く見られますが、金製品では珍しい色で、現代ではほとんど目にしません。19世紀のアンティーク・ジュエリーや懐中時計ケースの彫刻において、植物の色を表現するためにグリーンゴールドを用いる場合があります。

 下の写真は1880年代頃にスイス、ラ・ショー=ド=フォンのクルヴォワジエ・フレール (Courvoisier Frères) が制作した懐中時計です。ケースには日本風の植物文様を取り入れたアール・ヌーヴォー様式の彫刻を施し、葉の部分にグリーン・ゴールドを使用しています。当店の販売済み商品。

 


 下の写真は19世紀末頃のフランスで制作されたペンダントで、「レジナ・チェリ」(Regina Coeli 「天の元后」 聖母マリアのこと)の浮き彫りをグリーン・ゴールドの帯で囲んでいます。当店の商品です。




註1 ギリシア語「エーレクトロン」(琥珀)は「電気」の語源です。琥珀をこすると静電気が起きます。



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