突然生じる星々について ― 大プリニウス「ナートゥーラーリス・ヒストリア」 第二巻 三十二章から三十四章
DE STELLIS QUI REPENTE NASCUNTUR, in secundo libro NATURALIS HISTORIAE, capites 32 et 34




(上) バイユーのタピスリに刺繍された 1066年のハレー彗星。この人々は星に驚いている(羅 ISTI MIRANT STELLAM)、と書かれている。


 大プリニウス(Gaius Plinius Secundus, 23/24 - 79) は「ナートゥーラーリス・ヒストリア」(羅 "LIBRI NATURALIS HISTORIAE" 「博物誌」)第二巻三十二章から三十四章で、天空に突然生じる星を分類記述しています。この箇所を 1906年のトイプナー版(Karl Friedrich Theodor Mayhoff, Lipsiae, Teubner, 1906)によって全訳し、原テキストと共に示します。トイプナー版はドイツの古典語学者カール・フリードリヒ・テオドール・マイホフ(Karl Friedrich Theodor Mayhoff, 1841 - 1914)の校訂による版で、「ナートゥーラーリス・ヒストリア」の標準テキストとなっています。日本語訳は筆者(広川)によります。"DE STELLIS QUI REPENTE NASCUNTUR"(突然生じる星々について)という副題は、筆者が付けたものです。

 これらの章において論じられているのは大方が種々の彗星と思われますが、プリニウスは第一の類のみをコメーテース(羅 cometes)と呼んでいます。またプリニウスはコメーテースをはじめ、突然生じる星々をステーッラ(羅 stella 星)に含めていますが、一つの事例については「星ではなく、むしろある種の燃えるこぶであった」(nec stella verius quam quidam igneus nodus. 註20)と述べています。それゆえ突然生じる星々には、火球や超新星など彗星以外の天文現象も含まれていると考えられます。

 筆者の訳はラテン文の意味を伝わり易くするために適宜語句を補い、説明的に訳すとともに、こなれた日本語になるようにも心がけたため、逐語訳にはなっていません。逐語的な訳文は、註において示しました。訳文において補った語句は、ブラケット [ ] で示しています。


   32   restant pauca de mundo. namque et in ipso caelo stellae repente nascuntur. plura earum genera. cometas graeci vocant, nostri crinitas, horrentes crine sanguineo et comarum modo in vertice hispidas.     世界について語るべきことが、もう少し残っている。というのも、星々が天空に突然生じることがあるからだ。それらの星々にはいくつかの類がある。[第一の類を]ギリシア人たちはコメーテースと呼び、[これは]我らのクリーニータエ[・ステーッラエ](髪長星)[に相当する]。[この類の星は]血の色の髪を逆立て、まるで髪を乱したように、頭頂に剛毛がある(註1)。
     iidem pogonias quibus inferiore ex parte in speciem barbae longae promittitur iuba.    彼ら(ギリシア人たち)は[第二の類を]ポーゴーニアス(髭星)と[呼ぶ]。ポーゴーニアスにあっては、長い髭に見えるたてがみが下部から突き出ている(註2)。
     acontiae iaculi modo vibrantur, ocissimo significatu.    アコンティアエ(投げ槍星)は投げ槍のように震える。[この類の星が出現した場合は、夜空を見上げれば]いとも簡単に見つかる(註3)。
     haec fuit, de qua quinto consulatu suo titus imperator caesar praeclaro carmine perscripsit, ad hunc diem novissima visa.    ティトゥス皇帝が五度目のコンスル職にあったとき、かの優れた歌に詳しく記録したのは、この[類の星]であった。[これは]今日に至るまでに見られた最新の[アコンティアである](註4)。
     easdem breviores et in mucronem fastigatas xiphias vocavere,    [アコンティアエと同類だが]より短く、刃のように鋭いものを、[ギリシア人たちは]クシフィアース(短剣星)と呼んでいた(註5)。
     quae sunt omnium pallidissimae et quodam gladii nitore ac sine ullis radiis,    この類の星はすべてのうちで最も青白く、 剣に幾分似た輝きがあるが、輻状の光はまったく伴わない(註6)。
     quos et disceus, nomini similis, colore autem electro, raros e margine emittit.    かかる輻状の光はディスケウス(投げ輪星)によっても放たれる。ディスケウスはその名の通り、[輻状の光]を縁から放つ。その光は淡く、琥珀金の色である(註7)。
     pitheus doliorum cernitur figura, in concavo fumidae lucis.    ピテウス(樽星)は樽の形によって、[すなわち]朧げな光を窪みに満たしたように見えることで判別される(註8)。
     ceratias cornus speciem habet, qualis fuit cum graecia apud salamina depugnavit.    ケラーティアス(角星)は角のような外見を有する。ギリシアがサラミス近海で戦ったとき、この類の[星]が見えた(註9)。
     lampadias ardentes imitatur faces,    ランパディアス(松明星)は燃える松明に似ている(註10)。
     hippeus equinas iubas, celerrimi motus atque in orbem circa se euntes.    ヒッペウス(騎手星)は[形状が]馬のたてがみに[似ており、]非常に速く動き、その場で円を描く(註11)。
     fit et candidus Διὸς cometes, argenteo crine ita refulgens, ut vix contueri liceat, specieque humana dei effigiem in se ostendens.    ゼウスに属して白く輝くコメーテースも生じる。[このコメーテースの]髪は銀色で、凝視することがほとんどできない程に光っている。人間が[そのコメーテースを]見るならば、そこには神の似姿が示されているのである(註12)。
     fiunt et hirci, villorum specie et nube aliqua circumdati.    たくさんの毛がある[ように見える]星も生じる。[この類の星は]ふさふさした髪のある外見で、ある種の雲に囲まれている(註13)。
     semel adhuc iubae effigies mutata in hastam est, olympiade cviii, urbis anno ccccviii.    これまでに一度、ヒッペウス(騎手星)が槍の形に変わったことがある。[この出来事は]第108オリンピック期、[すなわち]ローマ市の第408年[に起こった](註14)。.
     brevissimum quo cernerentur spatium vii dierum adnotatum est, longissimum clxxx.    [天空に突然現れる星が]見分けられた期間は最短で七日間、最長で百八十日間と記録されている(註15)。
         
         
   33   moventur autem aliae errantium modo, aliae inmobiles haerent,     さらに[これらの星のうちの]或るものは惑星ども[と同様]の仕方で動くが、或るものは不動のままに留まる。(註16)。
     omnes ferme sub ipso septentrione, aliqua eius parte non certa, sed maxime in candida, quae lactei circuli nomen accepit.    [これらの星の]全てはほとんど北[の空]に[生じる]。どこにでも[生じるが、]たいていは[夜空の]明るく輝く部分[に生じる]。その部分は乳の道と呼ばれている(註17)。.
     fiunt et hibernis mensibus et in austrino polo, sed ibi citra ullum iubar.    [星は]冬季にも生じるし、南の空にも生じる。しかしながらそれらの場合には、光をほとんど伴わない(註18)。.
         
     diraque conperta aethiopum et aegypti populis cui nomen aevi eius rex dedit typhon,    さらに、アエティオペース[と総称されるエチオピア人とエジプト人]のうち、エジプトの人々によっても恐ろしい[星]が確かに目撃された。その時代のエジプト人の王テューフォーンは、その[星]に[自分と同じ]名前を与えた。
     ignea specie ac spirae modo intorta, visu quoque torvo, nec stella verius quam quidam igneus nodus.    [そのときに見えた物は]火のような外見で、かつ螺旋状に巻かれ、さらに威嚇するような外観であって、しかるに星ではなく、むしろある種の燃えるこぶ[であった](註20)。
         
     sparguntur aliquando et errantibus stellis ceterisque crines. sed cometes numquam in occasura parte caeli est,     動き回る他の星々にも、時には[毛髪状の]尾が付いている。しかしながらコメーテースが天の西の部分にあることは決してない(註21)。
     terrificum magna ex parte sidus atque non leviter piatum, ut civili motu octavio consule iterumque pompei et caesaris bello,    [天空に突然現れる星は]大部分[の人]によって、恐ろしく簡単には慰撫されない天体[と考えられている]。オクタウィウスがコンスルであったときの[ローマ]市の動乱により、そしてさらにはポンペイウスとカエサルの戦によって、[このことは示されている](註22)。
     in nostro vero aevo circa veneficium, quo claudius caesar imperium reliquit domitio neroni, ac deinde principatu eius adsiduum prope ac saevum.    しかるに我らの時代に[関して言えば、]クラウディウス皇帝が毒殺されて、帝国をドミティウス・ネロに遺した頃に、さらにその後ネロが元首であったときに、[この種の天体は]頻繁に見られ、[恐ろしいことであった](註23)。
         
     referre arbitrantur, in quas partes sese iaculetur aut cuius stellae vires accipiat quasque similitudines reddat et quibus in locis emicet:     [天空に突然現れる星は]前兆と考えられている。[空の]どの部分に向かって飛んで行くか、あるいはどの星の力を受けているのか、またどのような類似性を再現しているのか、またどの場所で光を発するのか[が考察される](註24)。
     tibiarum specie musicae arti portendere, obscenis autem moribus in verendis partibus signorum,    [天空に突然現れる星は]笛に似た外見によってムーサの技芸への予兆を為し、さらに象徴物が有する畏敬されるべき諸部分[に似た外見]において、汚らわしき風俗に向けた予兆を為す[と人々は考えている](註25)。
     ingeniis et eruditioni, si triquetram figuram quadratamve paribus angulis ad aliquos perennium stellarum situs edat;    [天空に突然現れる星星が]或る幾つかの星座に対して正三角形あるいは正方形を作るならば、[人間の]天性に向けた、また学問に向けた予兆を為す[と人々は考えている](註26)。
     venena fundere in capite septentrionalis austrinaeve serpentis.    北または南の蛇の頭に位置する場合、[天空に突然現れる星は]災厄を注ぎ出す[と人々は考えている](註27)。
         
   34   cometes in uno totius orbis loco colitur in templo romae,     [コメーテースは]世界でただ一か所、ローマの神殿で崇拝されている(註28)。
     admodum faustus Divo Augusto iudicatus ab ipso, qui incipiente eo apparuit ludis, quos faciebat veneri genetrici non multo post obitum patris caesaris in collegio ab eo instituto.    神なるアウグストゥスは、[或るコメーテースが]自分にとって非常な祝福をもたらすと考えたのだ。彼(アウグストゥス)は父カエサルの死からまもなく、自分が設けた団体で、ウェヌス・ゲネトリークスのために競技会を開催したのであるが、[その競技会を]始めようとしているときに、[コメーテースが]諸競技に対して現れたのだ(註29)。
     namque his verbis in gaudium prodit is: "ipsis ludorum meorum diebus sidus crinitum per septem dies in regione caeli sub septemtrionibus est conspectum.    すなわちアウグストゥスは喜んで次のように言う。「我が諸競技の[行われる]まさにその日々に、髪の有る星が七日間にわたり、天の七つ星(北斗七星)の下の領域に確かに見えていた(註30)。
     id oriebatur circa undecimam horam diei clarumque et omnibus e terris conspicuum fuit.    その星は日の出の一時間ほど前に昇った。また[そのコメーテースは]明るく、方々の土地であらゆる人からはっきりと見えた(註31)。
     eo sidere significari vulgus credidit caesaris animam inter deorum inmortalium numina receptam, quo nomine id insigne simulacro capitis eius, quod mox in foro consecravimus, adiectum est."    庶民が信じたところでは、カエサルの魂が神性を有する不死の神々のひとりとして受け容れられたことが、その星によって示されている。その[神という]名前(資格)によって、[コメーテースを象る]かの飾りが、カエサルの胸像に付加されたのである。我々はフォルムにおいて、その像を奉献したばかりである(註32)。」
     haec ille in publicum; interiore gaudio sibi illum natum seque in eo nasci interpretatus est.    アウグストゥスは公式にはこのように[言ったのだが]、心中に喜びを秘めて、その星が自分のために生まれたと、また自分がその[星の]うちに生まれるのだと解したのだ(註33)。
     et, si verum fatemur, salutare id terris fuit.    そしてもしも本当のことを我々が告白するならば、その星は全世界にとって救い[の予兆]であった(註34)。
         
     sunt qui et haec sidera perpetua esse credant suoque ambitu ire, sed non nisi relicta ab sole cerni;    ある人々の意見によると、これらの星々もまた永遠であって、自分の軌道によって運行するが、太陽から離されなければ判別されない。そのように信じる人もいる(註35)。
     alii vero qui nasci umore fortuito et ignea vi ideoque solvi.     しかるに他の人々の意見によると、[これらの星々は]偶発的な湿気と火によって生まれ、そして同じ力により解消される。


 ギリシア語で頭髪をコメー(希 κόμη, ἡ)といい、この語は転じて彗星の尾も指します。「コメーがある星」をギリシア語で言うとアステール・コメーテース(希 ἀστὴρ κομήτης 単数主格)ですが、コメーテース(κομήτης, ου, ὁ)のみで彗星を意味します。ラテン語はこれを借用してコメーテース(羅comētēs, ae, m.)またはコメータ(羅 comēta ae, m.)としています。すなわち近代語コメット(英 comet 仏 comète 彗星)の語源コメーテースは「毛がある星」の意味ですが、プリニウスは天空に突然生じる星のうち、コメーテースを第一の類とし、これとは異なる名前の天体とともに、形状別に論じています。

 現代の望遠鏡はあらゆる波長の電磁波のみならず、重力波さえも利用します。しかるに中世以前には光学望遠鏡さえ存在せず、天体はすべて肉眼で観測されていました。遥か後の十六世紀になっても、ティコ・ブラーエ(Tycho Brahe, 1546 - 1601)は肉眼で天体を観測していました。昔の人が望遠鏡を使わずに天体を観測し、ときにはここで述べられているように多種類の形状の星を区別できたのは、彼らが優れた視力と観察眼を持つと同時に、天体と感応する優れた感受性を持っていたからでしょう。

 天体と感応するといっても、筆者が言うのは神秘的なことではありません。細部を見落とさないためには、あると思って探さなければなりません。宝石の分光検査でスペクトルの輝線や吸収線を探す際に、筆者はこのことをよく経験します。レントゲン写真を読影したり、自然物の写真から仮説を裏付ける現象を探したりする際にも、まったく同じことが言えます。天体が地上に影響を及ぼし、あるいは地上に起ころうとしている変化の予兆が天体に顕れると考えるならば、天体観測は現実の生活に直結する重大事となります。この状況を背景に天体を観測すれば、同じ視力の現代人が見落とすような微妙な形の違いが古代人には判別できたでしょうし、ときには観測者の予想が見え方に影響することもあったはずだと筆者は考えます。



 註1 cometas graeci vocant, nostri crinitas, horrentes crine sanguineo et comarum modo in vertice hispidas..
         
          comētēs, ae, m または comēta, ae, m はギリシア語 κομήτης, ου, ὁ の借用。これをラテン語では crīnīta stēlla すなわち髪長星(かみながぼし)と呼んだ。この文において、comētās 及び crīnītās stēllās を限定する分詞と形容詞(horrentēs, hīspidās)は、いずれも女性複数対格に置かれている。
          nostrī crīnītas [stēllās] の nostrī は、代名詞 nōs の複数属格。所有形容詞を使用して nostrās crīnītās [stēllās] としても意味は変わらない。
         
         crīnīs, is, m. 髪、編み毛、尾
         crīnītus, a, um, adj. 髪の有る、長髪の、巻き毛の
         horreō, ēre, horruī, v.n. v.a. 硬直する、逆立つ、寒さに震える、恐怖に震える
         coma, ae, f. 頭髪、乱れ髪、群葉
         hīspidus, a, um, adj. 粗い、剛毛の
         vertex, ticis, m. 渦、旋風、火柱、つむじ、頭頂、天極、頂点、山
         
 註2 iidem (i. e. graeci) [secundum genus] pogonias [vocant. in] quibus inferiore ex parte in speciem barbae longae promittitur iuba.
         
         πώγων, ωνος, ὁ  髭
         πωγωνίας, ου, ὁ  彗星
         pōgōnias, ae, m. (上のラテン語表記)
         in speciem barbae longae は prōmittitur に係る副詞句とも、juba にかかる形容詞句とも取れる。直訳すると「長い髭の外見に向かって」。
         
         juba, ae, f. たてがみ、とさか、兜の前飾り
         
 註3 acontiae iaculi modo vibrantur, ocissimo significatu.
         ※ ōcissimō sīgnificātū は絶対的奪格。直訳すると「指し示しが最も速やかな状態で」となるが、最も速やかに見つかる、いとも簡単に見つかるとの意味に解した。
         
         ἄκων, οντος, ὁ 投げ槍
         ἀκόντῐον, ου, τὸ. 小さな投げ槍 ※ ἄκοντ- に指小辞 -ῐον が付いた形
         jaculum, i, n. 投げ槍
         ōcior, ōcius, adj. comp. より速やかな
         ōcissimus, a, um, adj. sup. 最も速やかな
         sīgnificātus, ūs, m. 示すこと、表示
         
 註4 haec (i. e. hujus generis stella) fuit, de qua quinto consulatu suo titus imperator caesar praeclaro carmine perscripsit, ad hunc diem [haec acontia] novissima visa [est].
         
         praeclārus, a, um, adj. まったく明らかな、たいへん優れた、有名な
         
 註5 easdem breviores et in mucronem fastigatas xiphias vocavere,
         直訳 これと同様のもので、より短く、刃へと(刃に似るように)斜めに尖らせられているのを、[ギリシア人たちは]クシフィアースと呼んでいた。
         
         クシフィアースはクシフォスの派生語。クシフォスは鉄器時代から古典古代前期にかけて使われた短い剣である。アコンティアエ(投げ槍星)よりも短いように見える星を、ギリシャ人たちは短剣クシフォスに擬して、クシフィアース(短剣星)と呼んだのである。
         
         mūcrō, ōnis, m, 刃、切先、剣
         fāstus, ūs, m. 高慢、うぬぼれ、冷淡、無情
         fāstīgium, ī, n. 斜め方向、傾斜、高揚、破風、高所、頂上、要点
         fāstīgō, āre, āvī, ātum, v. a. 斜めに走らす、傾斜させる、尖らす
         ξίφος, εος , τὸ 短剣
         ξιφίας, ου, ὁ 短剣状のもの、メカジキ
         
 註6 quae sunt omnium pallidissimae et quodam gladii nitore ac sine ullis radiis,
         直訳 この類の星はすべてのうちで最も青白く、 剣の(剣に似た)何らかの輝きがあり、輻状の光はまったく伴わない。
         
         palleō, ēre, v. n. 色あせている、怖がる
         pallidus, a, um, adj. = pallēns, entis, pr. p., p. a. 青白い、黄色がかった、淡緑色の
         niteō, ēre, nituī, v. a. 光り輝く、立派である、肥えている、繁茂している、卓越する
         nitor, ōris, m. 光輝、優美さ、魅力、名望
         ūllus, a, um, (gen. ullius, dat. ulli) adj., subst., [unus] 或る(人)、或る(物) ※ 形容詞としては主に否定文で用いる
         
 註7 quos (i. e. radios) et disceus, nomini similis, colore autem electro, raros e margine emittit.
         直訳 かかる輻状の光はディスケウスによっても放たれる。[投げ輪の]名前と同様のディスケウスは、琥珀金の色であるが、淡い[輻状の光]を縁から放つのだ。
         ※ "nomini similis"(名前と同様の)とは、星が縁から光を放つ様子を投げ輪の形状に見立て、そのさまがディスケウスの名にふさわしいことを言っている。raros は前方の quos [radios] を限定している。
         
         δισκεύς, έως, ὁ = δίσκος, ου, ὁ  輪投げ遊びの輪、環状列石の天井石が作る円環
         rārus, a, um, adj. 薄い、希薄な、透き通った、稀な
         
 註8 pitheus doliorum cernitur figura, in concavo fumidae lucis.
         直訳 ピテウス(樽星)は樽の形によって、[すなわち]煙る光の窪みにおいて判別される。
         
         πιθεύς = πίθος, ὁ  aut πιθίας, ου, ὁ 葡萄酒用の水差し、それに似た形状の星
         dōlium, ī, n. 樽、桶、陶製の大きな器
         concavus, a, um, adj. 窪んだ ※ ここでは中性単数形が名詞として用いられている。すなわち "in concavo fumidae lucis" は「(酒を満たした樽に似て)ぼんやりと煙ったような光を満たした窪みにおいて」の意で、 "doliorum figura" をさらに敷衍し、判別の根拠を述べている。
         fūmidus, a, um adj. = fūmeus, a, um, adj. 煙っている
         
 註9 ceratias cornus speciem habet, qualis fuit cum graecia apud salamina depugnavit.
         直訳 ケラーティアス(角星)は角の外見を有する。ギリシアがサラミスの近くで戦ったとき、このような[星]があった。
         
         κερᾱτίας ου, ὁ  角のある神(ディオニュソス)、天体の一種
         Σᾰλᾰμῑ́ς, μῖνος, ἡ サラミス
         
 註10 lampadias ardentes imitatur faces,
         
         λάμπω 輝く、照らす
         λᾰμπτήρ, τῆρος, ὁ 松明、ランタン
         λαμπαδίας, ου, ὁ 天体の一種
         fax, facis, f. 松明、婚礼、葬式のかがり火、首謀者、流星
         
 註11 hippeus [imitatur] equinas iubas, celerrimi motus atque in orbem circa se euntes.
         直訳 ヒッペウスは馬のたてがみに似る。最も速い動きの[たてがみ]であり、また自らの周囲を巡る[たてがみ][である]。
         
         ἱππεύς, έως ὁ 騎手、戦車の乗り手
         juba, ae, f. たてがみ
         
 註12 fit et candidus Διὸς cometes, argenteo crine ita refulgens, ut vix contueri liceat, specieque humana dei effigiem in se ostendens.
         直訳 ゼウスに属して白く輝くコメーテースも生じる。[このコメーテースの]髪は銀色で、凝視することがほとんどできない程に光り、人間の注視によってそれ自体のうちに神の似姿を示している。
         
         ラテン語で「白い」を表す形容詞には albus と candidus がある。 albus はギリシア語 ᾰ̓λφός, οῦ, ὁ (白斑を生じるハンセン氏病)と同根で、艶が無く空虚な白さを表す。これに対して candidus は動詞 candeō(輝く)に由来し、実体から輝き出る白さを表す。
         Διὸς は Ζεύς の属格。
         contueor, ērī, tuitus sum, v. dep. 眺める、観察する、香料する、吟味する
         effingō, ere, fīnxī, fīctum, v. a. 模する
         effigiēs, ēī, f. 像、似姿、範型
         
         speciēque humanā という句の解釈について。この直後にある villōrum speciē で、speciēs は「外見」の意味に使われている。前の句のspeciēs を後の句と同様に「外見」の意味に取るならば、前の句 speciēque humanā は「人の外見を以て」神の姿を示す、という神人同形説的な表現となろう。しかしながら前の句の文脈からすれば、一個の星を人の姿に見立てるというのは唐突である。また似せるあるいは似るを含意する語は、むしろ effigiēs のほうである。それゆえ前の句の speciēs は「見ること、注視」の意に解した。
         
 註13 fiunt et hirci [cometae], villorum specie et nube aliqua circumdati.
         
         プリニウスはこの直前の箇所で「ゼウスに属して白く輝くコメーテース」について単数形で述べていたが、「たくさんの毛がある[ように見える]星」については、一転して複数形を用いている。
         villus, ī, m. ふさふさした髪
         
 註14 semel adhuc iubae effigies mutata in hastam est, olympiade cviii, urbis anno ccccviii.
         直訳 これまでに一度、たてがみの似姿が槍に変えられた。第108オリンピック期、[すなわち]ローマ市の第408年[のことであった]。
         
         semel, adv. 一度、ただ一回、同時に、最後的に、断固として、初めて
         
 註15 brevissimum quo [stellae] cernerentur spatium vii dierum adnotatum est, [et] longissimum [spatium] clxxx [dierum adnotatum est].
         直訳 [星が]判別された七日間の最短の期間が記録された。[また]百八十[日間]の最長の[期間が記録された]。
         
         cernerentur は接続法未完了過去で、「(そのとき見ている人があったならば、)判別されたであろう」の意。
         
 註16 moventur autem [stellarum] aliae errantium modo, aliae inmobiles haerent,
         直訳 さらに[星のうちの]或るものは惑星どもの仕方で動かされ、或るものは不動のままに留まる。
         
 註17 omnes [stellae] ferme sub ipso septentrione [fiunt,] aliqua eius parte non certa, sed maxime in candida [parte fiunt,] quae lactei circuli nomen accepit.
         直訳 全て[の星]はほとんど北[の空]に[生じるが、]それの(i. e. 北の空の)決まった或る部分にではなく、たいていは[夜空の]明るく輝く部分[に生じる]。その部分は乳の道という名前を受け容れている。
         
         fermē = ferē, adv. ほとんど、通常は、一般に
         septentriō, ōnis, m. (主として pl.)北斗七星
         terō, ere, trīvī, trītum, v. a. こする、磨く、使い古す
         triō, ōnis, m. 農耕牛;(pl. で)(北極星を巡る)おおぐま座またはこぐま座
         māximē, adv. 主として、たいてい、大体
         
 註18 fiunt et hibernis mensibus et in austrino polo, sed ibi citra ullum iubar.
         直訳 [星は]冬の月々にも生じる。また南の空にも[生じる]。しかしながらそれらの場合には光をほとんど伴わない。
         ※ ibī(その場所で、その場合に)が指示する内容を、「冬の月々」と「南の空」の両方と解して訳した。
         
         polus, i, m. 極、北、天空
         citrā, prep. cum acc. …無しに、…を除いて
         ūllus, a, um, adj., subst. 或る(人)、或る(物) ※ 形容詞としては主に否定文で用いる。
         jubar, aris, n. [juba たてがみ] 光輝、星、太陽
         
 註19 diraque [stella] conperta aethiopum et aegypti populis, cui nomen aevi eius rex dedit typhon,
         直訳 さらに、アエティオペース[と総称されるエチオピア人とエジプト人]のうち、エジプトの人々によっても恐ろしい[星]が確認され、その時代のエジプト人の王テューフォーンが、その[星]に名前を与えた。
         
         dirā stellā compertā は絶対的奪格。populīs は行為者の奪格。
         aethiopum はいわゆる部分の属格。当時はエチオピア人とエジプト人を合わせて aethiopēs と呼んでいた。
          この箇所の aevī は「その時代の」(= aetāris)と解した。ēius は populus aegyptī を受ける。

 当時のエジプト王王テューフォーンがどのような名前を星に与えたのか、プリニウスは具体的に記録していない。しかしながらこの星が恐ろしい外見を有したことを考えあわせれば、王が星に与えた名前は、自分と同名のテューフォーンかもしれない。
 ギリシア神話のテューフォーンは地母神ガイアがタルタロスとの間に儲けた子供で、百のドラゴンの頭を有する恐ろしい怪物である。テューフォーンはゼウスによって火山の地下に閉じ込められた。
         
         pariō, rere, peperī, partum, v. a. 手に入れる
         comperiō, īre, perī, pertum, v. a. 確知する、確報を受ける、学ぶ
         aethiops, opis, m. エチオピア人、エジプト人
         aevum, ī, n. 時の長さ、永遠 ※ ときに aetas と同義。
         aetās, ātis, f. 年齢、若年、丁年、全盛期、老年、寿命、時代、世代
         τῡ́φω 煙を上げる
         Τῡφῶν, ῶνος, m. テューフォーン
         tȳphōn, ōnis, m. 激しい旋風、台風
         
 註20 ignea specie ac spirae modo intorta, visu quoque torvo, nec stella verius quam quidam igneus nodus.
         直訳 [その星は]火のような外見で、かつ螺旋状に巻かれ、さらに威嚇するような外観であって、しかるに星ではなく、むしろある種の燃えるこぶ[であった]。
         
          プリニウスは「[このときに目撃されたのは]星ではない」(nec stella)と言う一方で、完了分詞 intorta を女性形にし、この直前でも dirāque compertā と女性形を用いている。テューフォーンをどの種類の天体に分類すればよいのか不明であったので、プリニウスは便宜上stella の一種とし、説明に女性形を使ったのであろう。
 プリニウスがこれまでの箇所で論じている天体は、いずれも現代で言う彗星であろう。プリニウスはこれらをすべて星(stellae)に含めているから、エジプト人が目撃した「星ではない」テューフォンは、彗星ではなかったことがわかる。おそらく火球のようなものであろう。
         ※ īgneā ...torvō は絶対的奪格。
         
         intorqueō, ēre, torsī, torsum, v. a. 回しいれる、ねじ込む、巻く、回転させる、振り回す、歪める
         quoque, adv. …もまた
         torvus, a, um, adj. 陰険な、恐ろしい、威嚇するような
         
 註21 sparguntur aliquando et errantibus stellis ceterisque crines. sed cometes numquam in occasura parte caeli est,
         直訳 動き回る他の星々にも、時には[毛髪状の]尾が付けられている。しかしながらコメーテースが天の下る部分にあることは決してない。
         
         aspargō, ere, rsī, rsum, v. a. ばらまく、散らす、振りかける、湿らせる
         
 註22 terrificum magna ex parte sidus atque non leviter piatum, ut civili motu octavio consule iterumque pompei et caesaris bello,
         直訳 [天空に突然現れる星は]大部分[の人]によって、恐ろしく簡単には慰撫されない天体[と考えられている]。オクタウィウスがコンスルであったときの[ローマ]市の動乱により、そしてさらにはポンペイウスとカエサルの戦によって、[このことは示されている]。
         
          オクタウィウス(Gnaeus Octāvius)は紀元前87年にコンスル職に就き、もう一人のコンスルであるルキウス・コルネリウス・キンナ(Lucius Cornelius Cinna, B.C. c. 132 - 84)と争って、ローマは内戦に陥った。ポンペイウス(Gnaeus Pompeius Magnus, B.C. 106 - 48)とカエサル(Gaius Iulius Caesar, B.C. 100 - 44)の内戦は、紀元前49年1月10日にカエサルがルビコンを渡って始まり、三年余りに及んだ。カエサルは紀元前45年3月15日に元老院で暗殺された。
         
 註23 in nostro vero aevo circa veneficium, quo claudius caesar imperium reliquit domitio neroni, ac deinde principatu eius [sidus] adsiduum prope ac saevum. referre arbitrantur,
         直訳 しかるに我らの時代には毒殺の頃、その毒殺によってクラウディウス皇帝は帝国をドミティウス・ネロに遺したのであるが、[その頃に]加えて、その後ネロが元首であったときに、[この種の天体は]ほとんど[空に]留まり、かつ猛々しかった。
         
         第四代ローマ皇帝クラウディウス(Tiberius Claudius Nero Caesar Drusus, B.C. 10 - A.D. 54)は毒キノコの料理で中毒死したが、これは四番目の妻小アグリッピナが仕組んだ毒殺とされている。第五代皇帝としてローマ帝国を継いだのは、小アグリッピナの連れ子ネロ(Nero Claudius Caesar Augustus Germanicus, 37 - 68)であった。ネロの父はドミティウス(Gnaeus Domitius Ahenobarbus, B.C. c. 2 – A.D. 41)で、ネロが生まれた時の名前も父と同じドミティウス(Lucius Domitius Ahenobarbus)である。
         
         venēnum, ī, n. 薬液、美顔料、香料、(特に紫色の)染料、媚薬、毒薬、毒殺、災害、破滅
         venēficinum, ī, n. 毒物の調合、毒殺
         adsiduus, a, um = assiduus, a, um, adj. 定住している、留まっている、近侍している、絶え間ない
         saevus, a, um, adj. 荒れ狂う、猛々しい、過酷な
         
 註24 [stellam] referre arbitrantur, in quas partes sese iaculetur aut cuius stellae vires accipiat quasque similitudines reddat et quibus in locis emicet [arbirtantur]:
         直訳 [天空に突然現れる星は]模倣すると[人々は]考えている。[空の]どの部分に向かって自身を(槍のように)投げるか、あるいは[その星が]どの星の力を受けているのか、またどのような類似性を再現しているのか、またどの場所で光を発するのか[を人々は考える]。
         
         referō, ferre, rettulī, relātum, v. irreg, a. 似姿によって映し出す、再現する、模倣する
         vīrēs ここでは vīs の複数対格。
         reddō, ere, didī, ditum, v. a. 再現する、模倣する
         
 註25 [arbitrantur stellam] tibiarum specie musicae arti portendere, obscenis autem moribus in verendis partibus signorum,
         直訳 [星は]笛の外見によってムーサの技芸への、さらに諸々の徴の畏敬されるべき諸部分において、汚らわしき風俗への予告を為す[と人々は考えている]。
         
         この部分は後半の意味が分かりづらいが、諸々の徴の畏敬されるべき諸部分(verendi partes signorum)、すなわち星の形状のうちで尊重されるべき物品に似た諸部分が、堕落した人間界で起こる災厄の予兆となっている、という意味であろう。
         
         tibia, ae, f. 脛骨、笛の一種
         vereor, ērī, veritus sum, v. dep. 恐れる、はばかる、ためらう、畏敬する、気遣う
         
 註26 ingeniis et eruditioni, si triquetram figuram quadratamve paribus angulis ad aliquos perennium stellarum situs edat;
         直訳 年中見える星々による或る幾つかの座に対し、同じ角度の三角形あるいは四角形を作り出すならば、[人間の]天性への、また学問への、予告を為す[と人々は考えている]。
         
         ingenium, i, n. 生来のもの、天性、本姓、気質、想像力、妙案、天才
         ērudītiō, ōnis, f. 学問、教養
         triquetrus, a, um, adj. 三角の、シチリアの
         
 註27 [cometam] venena fundere [arbitrantur] in capite septentrionalis austrinaeve serpentis.
         直訳 北の、または南の蛇の頭にあって、[星は]毒を注ぎ出す[と人々は考えている]。
         
 註28 cometes in uno totius orbis loco colitur in templo romae,
         直訳 コメーテースは全世界の[うちの]一か所で、[すなわち]ローマの神殿で崇拝されている。
         
         orbis, is, m. 円
         orbis = orbis terrae = orbis terrārum 世界、地上の全世界 ※ 大地は平坦な円であるとの考えに基づく表現。
         cf. οἰκουμένη, sc. γῆ 人の住む世界、狭義ではローマ帝国
         
 註29 [cometes] admodum faustus Divo Augusto iudicatus ab ipso, qui incipiente eo apparuit ludis, quos faciebat veneri genetrici non multo post obitum patris caesaris in collegio ab eo instituto.
         直訳 コメーテースは神なるアウグストゥスにとって非常な祝福と当人自身によって判断された。彼(アウグストゥス)が[競技会を]始めようとしているときに、[そのコメーテースが]諸競技に対して現れたのだ。それらの競技を[アウグストゥスは]ウェヌス・ゲネトリークスのために、彼(アウグストゥス)自身によって設けられた団体において、開催していた。自身の父カエサルの死から多く[の年月]の後ではなく。
         incipiente eo は絶対的奪格、すなわち eo (=Augusto) [ludos] incipiente と解した。
         in collegio ab eo instituto について。eo はアウグストゥスを指し、この句は faciebat に係る副詞句である。
         
         admodum, adv. ちょうど、正しく、全く、非常に、十分に
         faustus, a, um, adj. 幸福な、祝福された
        collēgium, ī, n. 団体
         
 註30 namque his verbis in gaudium prodit is: "ipsis ludorum meorum diebus sidus crinitum per septem dies in regione caeli sub septemtrionibus est conspectum.
         直訳 すなわち彼はこれらの言葉によって、喜びへと進む。「我が諸競技の[行われる]まさにその日々に、髪の有る星が七日間にわたり、天の七つ星(北斗七星)の下の領域に確かに見えていた。
         
 註31 id oriebatur circa undecimam horam diei clarumque et omnibus e terris conspicuum fuit.
         直訳 その星は昼の第十一時頃に昇った。また[そのコメーテースは]明るく、方々の土地の全員に対して隠れもなかった。
         
          古代ローマの計時法は、昼(日の出から日の入りまで)と夜(日の入りから日の出まで)をそれぞれ十二等分する。ここでアウグストゥスは昼の十一時と言っているから、コメーテースは日没の一時間ぐらい前から見えていたことになる。コメーテースが明るかったので、空が完全に暗くならないうちからよく見えたのである。
         
 註32 eo sidere significari vulgus credidit caesaris animam inter deorum inmortalium numina receptam [esse], quo nomine id insigne simulacro capitis eius, quod [simulacrum] mox in foro consecravimus, adiectum est."
         直訳 その星によって[次のことが]示されていると、庶民は信じた。カエサルの魂が不死の神々である神性を有する者どものうちに受け容れられたのだと。その[神という]名前(資格)によって、かの飾りがカエサルの頭部の像に付加されたのである。我々はフォルムにおいて、その像を奉献したばかりである。」
         
         īnsīgne, is, n. 明示、印付け、称号、紋章、飾り、信号、合図
         simulācrum, i, n. 像、幻影、幽霊、模倣、描写
         
 註33 haec ille in publicum [dicit Augustus]; interiore gaudio sibi illum natum [esse,] seque in eo nasci interpretatus est.
         直訳 これらのことを彼は国家に向けて[言ったが]、内なる喜びを以て、その星が自分のために生まれたと、また自分がその[星の]うちに生まれると、[アウグストゥスは]解したのである。
         
         暮れかけた空に突然現れ、他の星々を圧するように明るく輝くコメーテースを、アウグストゥスは自分と同一視したのである。
         
         seque = et se
         illum = sidus
         
 註34 et, si verum fatemur, salutare id terris fuit.
         直訳 そしてもしも本当のことを我々が告白するならば、その星は全世界にとって救いとなるものであった。
         
         terrae = orbis terrae = orbis terrārum 全世界
         salūtāris, e, adj. 健康に良い、有用な、無病息災の、救霊の
         
 註35 sunt qui et haec sidera perpetua esse credant suoque ambitu ire, sed non nisi relicta ab sole cerni;
         直訳 [次のように]信じる人々もいる。この星々もまた永遠であって、自分の軌道によって運行するが、太陽から離されなければ判別されない、と。
         
         ambiō, īre, iī, ītum, v. n., v. a. 巡る、回る、回避する、取り巻く、言い寄る、得ようと努める
         ambitus, ūs, m. 循環、巡ること、回路、循環する軌道、運行
         
 註36 [sunt] alii vero qui [credant ut haec sidera] nasci umore fortuito et ignea vi ideoque solvi.
         直訳 しかるに他に[次のように信じる人々もいる。][この星々は]偶発的な湿気と火によって生まれ、そして同じ力により解消される、と。
         
         ūmor, ōris, m. 湿気、蒸気、各種の液体




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