稀少品 クリストゥス・パティエーンス 十字架の側に佇む聖母と聖ヨハネ ブロンズ製プラケットに台座付


台座を除くプラケットのサイズ 5 x 5 cm

台座を含めた高さと幅と奥行 56 x 60 x 12 mm  重量 115.0 g


フランス  1930年代



 20世紀前半から半ばにかけて活躍したフランスのメダイユ彫刻家、アンリ・ドロプシ (Henri Dropsy, 1885 - 1969) による作品。十字架上に死せるキリストと、その傍らで悲しみに暮れる聖母マリア、使徒ヨハネを正方形プラケットに表します。プラケットとは四角いメダイユのことです。本品ではプラケットに同素材の台が溶接され、オラトワールのような自立式オブジェとなっています。





 プラケットの中央には十字架に架かったキリストが表されています。実際の磔刑ではキリストの体はもっと高いところにあったはずですが、アンリ・ドロプシはこの作品でキリストの足を地表近くまで下ろし、またクロスの上部が画面からはみ出るのも構わずにキリストの頭部をプラケット最上部近くに置いています。この大胆な構図により、アンリ・ドロプシはキリストが十字架上で天地を繋ぎ給うたことを巧みに表現しています。

 十字架上のキリストは既に息絶えておられます。磔刑像にも幾つかの様式がありますが、息絶えたキリストを描くのは「クリストゥス・パティエーンス」(CHRISTUS PATIENS ラテン語で「死に屈したキリスト」の意)と呼ばれるタイプです。息絶えたキリストの両側では、聖母マリアと使徒ヨハネが悲しみに暮れています。三人の人物はキリストを中心にしてほぼ左右対称に配置されています。人物の表情や仕草は幾分様式化され、ルネサンス以前の作品のようにクラシカルな香りを漂わせています。





 本品には "GP" のイニシアルと、「1935年5月16日」(16 mai 1935) の文字が彫られています。司祭に叙階された記念でしょうか。あるいは宣教師として僻地に赴任する記念でしょうか。基部の裏面にあるのは、1827年にパリで創業した老舗メダイユ工房「V. カナル」(V. CANALE) の刻印です。


 プラケット画面の右上、ヨハネの頭の後ろに、この作品を制作したアンリ・ドロプシ (Henri Dropsy, 1885 - 1969) のサインが刻まれています。アンリ・ドロプシはキリスト教をテーマにした古典的作品群で知られるメダイユ彫刻家ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ (Jean-Baptiste Émile Dropsy, 1848 - 1923) の息子です。1908年のローマ賞メダイユ部門で二等を獲得し、1911年にパリ高等美術学校 (L'École nationale supérieure des beaux-arts de Paris, ENSB-A) を卒業しました。ル・サロン展において 1914年に銀メダル、1921年に金メダル、1929年に名誉賞を受章しています。1930年以降、パリ高等美術学校のメダイユ彫刻科教授を長年に亙って務め、1942年にはルイ=アレクサンドル・ボテ (Louis-Alexandre Bottee, 1852 - 1940) のあとを襲って芸術アカデミー (Académie des Beaux-Arts) 会員に選ばれました。





  本品は80年近く前にパリで制作された真正のアンティーク品で、美しく重厚なパティナ(古色)に被われており、特筆すべき瑕疵の無い良好なコンディションです。それほど場所を取らず、またしっかりと安定して自立するので、本棚等の小さなスペースにも飾ることができます。





58,000円 販売終了 SOLD

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