稀少品 クレール・ドミニク・ローラン作 マーグニフィカト わがこころ主をあがめ パリ造幣局のブロンズ製大型メダイユ


直径 63.1 mm   最大の厚さ 5.9 mm   重量 126.4 g

フランス  1982年



 1982年にパリ造幣局で鋳造されたマーグニフィカトのメダイユ。カトリック信仰をテーマにした作品群で知られ、フランスで活躍するハンガリー人彫刻家、クレール=ドミニク・ローラン (Claire-Dominique Laurent, 1951 - ) による稀少なメダイユ作品です。6センチメートルを超える直径、6ミリメートル近い厚み、120グラムを超える重量がある非常に立派な作品で、手に取るとずしりとした重みを感じます。



 「マーグニフィカト」(MAGNIFICAT) とは、受胎告知を受けたナザレの少女マリア(聖母マリア)が、親類の女性エリザベトを訪ねて歌った賛歌です。マリアのエリザベト訪問とマリアの賛歌「マーグニフィカト」は、「ルカによる福音書」1章39節から56節に記録されています。

 エリザベトはマリアよりもずっと年上の親類の女性で、マリアが住むナザレから南へ歩いて四、五日の旅程にあるユダエア属州(ユダヤ属州)の山里に住んでいました。当時のナザレはヘロデ・アンティパスが支配する領土「ガリラヤ」にありました。ガリラヤが独立国の体裁を保っていたのに対して、ユダエアは完全にローマ帝国の属州でした。

 エリザベトと夫の間には長い間子供ができず、そのためエリザベトはマリアを実の娘のように可愛がっていたようです。マリアは受胎告知の後、自分の身に起こった出来事を知らせるべく、すぐにこのエリザベトを訪問したのでした。メダイユの片面には、このときの様子が美しい浮き彫りで表されています。





 マリアの訪問を受けた当時、エリザベトはすでに若くなかったにもかかわらず、後に洗礼者ヨハネとなる子供を妊娠していました。このメダイユにおいて、ゆったりとした服を着た妊婦エリザベトは、少女マリアを両腕の中に迎えようとしています。ふたりの女性はお互いに強い愛情で結ばれていますが、動作が落ち着く年齢である上に妊娠しているエリザベトが、両腕を優しく開いて深く穏やかな愛情を示しているのに対して、少女マリアは両腕をいっぱいに開き、一刻も早くエリザベトに抱きつこうと、弾む心を抑えきれずに駆け寄っています。

 この作品は、ふたりの女性に通い合う強い愛情の絆を描き出すとともに、神の力による超自然的な妊娠を、怖れや戸惑い無く互いに喜び合う二人の女性の純粋な信仰という深遠な事柄を形象化しようとしています。この目的のために選ばれたのが、ミニマリスムの手法です。

 この作品において、重なり合う単純な面として表されたユダエアの山々を背景に、二人の女性はマッス(masse かたまり)に還元して表現されています。形態をこのように単純化することより、作品の鑑賞者は細部に注意を奪われることなく、作品が描き出そうとする事柄の核心を直観することになります。「レス・イズ・モア」、すなわち最小限に切り詰めた表現によってこそ、より豊かな内容をあらわすことができるとするミニマリスムの理想が、ここに実現されています。






 メダイユのもう一方の面には、神を讃えて喜びの賛歌を歌う少女マリアの姿が刻まれています。両腕を広げ、天を仰いで祈るマリアの口から出た「マーグニフィカト」(magnificat) の言葉が、メダイユの最上部に浮かんでいます。マリアの両脇には次の言葉がフランス語で書かれています。

  Il renverse les puissants. Il élève les humbles.  神は権勢(いきおい)ある者を引き下ろし、いやしき者を高め給う。

 "CSR" のモノグラム(組み合わせ文字)が、マリアの足下に記されています。このメダイユは確かにクレール=ドミニク・ローラン (Claire-Dominique Laurent) の作品ですが、モノグラムがなぜ "CSR" なのかは不詳です。


 クレール=ドミニク・ローランはフランスで活躍するハンガリー人彫刻家です。パリに客死した同国人の彫刻家アンドラス・ベック (András Beck, 1911 - 1970) に師事し、カトリック信仰をテーマにした大型の彫刻群で知られています。手許の資料によると、モネ・ド・パリ(la Monnaie de Paris パリ造幣局)で鋳造されたクレール=ドミニク・ローランのメダイユ作品は、少なくとも1985年以前にはこの「マーグニフィカト」のみです。






 メダイユの縁に「ブロンズ」(BRONZE) の文字と 1982の年号、及びモネ・ド・パリのマークであるコルヌ・コーピアエ(CORNU COPIAE 豊穣の角)が刻印されています。


 このメダイユは、作品全体に占める人物像や文字のバランスが見た眼に快いだけではなく、人間的な愛と宗教的信仰の両方を、簡潔な表現ゆえに却って深い精神性を伴って表現し、鑑賞者を福音書の世界に真っ直ぐに引き込みます。クレール=ドミニク・ローランの作品には大型のものが多いですが、そのなかにあって本品は真の芸術品が持つ迫力と完成された美を誇り、高く評価されるべき一点です。

 本品の保存状態はたいへん良好で、特筆すべき問題は何もありません。大きなサイズの立派な作品です。





48,000円 (税込)

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。



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