ギュスターヴ・レオナール・ド・ヨング作 「ふたりの猫ちゃん」 フランスにおけるジャポニスム ベル・エポックのフォトグラヴュール 1880年代
Two Kittens
原画の作者 ギュスターヴ・レオナール・ド・ヨング(Gustave Léonard De Jonghe, 1829 - 1893)
版元 ゲビー・アンド・カンパニー(Gebbie & Co., Philadelphia)
作品の画面サイズ 327 x 258 mm
額のサイズ 47 x 38 cm
「ふたりの猫ちゃん Two Kittens」 (あるいは「破れたペチコート Le Jupon Dechiré」)という表題の絵。しかし描かれているのは「ふたりのねこ」ではなくて、裕福な家庭の令嬢と彼女の猫です。
猫と暮らした経験がある方にはおわかりでしょうが、猫は気ままなところ、すぐに拗ねるところ、ちょっと贅沢なところ、しかしそれでもつい甘やかしてしまう愛らしさなど、両親に愛される令嬢にそっくりです。女の子も猫も、注目と愛情を一身に集める家庭のアイドルなのです。そう考えると画家が令嬢を猫になぞらえているのにも納得がいきます。
令嬢はたおやかな物腰でテーブルに体を預けて、愛らしいほほえみを浮かべながらつま先で猫と遊んでいます。このあと猫にじゃれつかれて、部屋を満たす彼女の明るい笑い声が聞こえてきそうです。
彼女と猫はとても気が合う友達どうしです。彼女自身は気付いていないでしょうが、若々しくしなやかな体つきも、いたずらっぽい仕草も、そう言われれば猫にそっくりです。
令嬢の体のラインと動きに合わせてできたドレスの襞、しなやかで健康な猫の体つき、ふたりがいる部屋に置かれた質のよい家具や飾り物、花模様の壁紙、美しく磨かれた床板。裕福な家庭で幸せに暮らす令嬢と猫の様子が、画家の優れた描写力で生き生きと表現されています。
原画の作者 ギュスターヴ・レオナール・ド・ヨング(Gustave Léonard De Jonghe, 1829-1893)はベルギー人画家ジャン=バチスト・ド・ヨング(Jean-Baptiste
De Jonghe, 1785-1844)の息子として生まれ、父の指導を受けたあとブリュッセルの王立美術アカデミーに進んで、ダヴィドの弟子ナヴェス(François
Joseph Navez, 1787-1869)とガレ(Louis Gallait, 1810-1887)に師事し、肖像画と宗教画から出発し、後に人々の生活を描いた風俗画へと進みました。
ド・ヨングは1855年にパリに出てすぐれた肖像画を描き、ブルジョワの間で人気を博しました。1862年にアントワープで、また1863年にパリで賞を得ています。
《本品の額装について》
本品は額装済みです。額はこのフォトグラヴュールに合わせて特注で制作したもので、イタリアの棹を使用し、日本国内の額装職人が組み立てました。本品を額装した職人はフレーマー最高の賞を受賞したこともある方です。額装マットの飾り切りもフリーハンドでおこなっています。額のサイズは縦
47センチメートル、横 38センチメートルです。
版画を初めて購入される方のために、版画が有する価値を解説いたしました。このリンクをクリックしてお読みください。
《参考 ギュスターヴ・レオナール・ド・ヨング の作品》