マルテの庭にて
At the Garden of
Marthe
フォトグラヴュア 1880年代
原画の作者 アレグザンダー・フォン・リーツェン=マイヤー (Alexander von Liezen-Mayer, 1839 - 1898)
画面サイズ 縦 253 mm 横 193 mm
ゲーテ(Johann Wolfgang von Göthe, 1749-1832)が60年以上かかって書き上げた「ファウスト」(Faust)から。メフィストフェレスの力を借りて若返ったファウスト博士と美少女マルガレーテ(グレーテ、グレートヒェン)がマルグレーテの隣人マルテの庭で初めて逢引きをする場面(
3163 -3193行)です。
「ファウスト」第1部の中核をなすのはマルガレーテの悲劇です。ファウストはメフィストフェレスの力を借りて無垢な少女マルガレーテを誘惑し、彼女はファウストに身も心も捧げますが、その結果一家は破滅し、子供は死に、彼女自身は投獄されて苦悩のうちに死んでしまいます。ファウストは彼女を踏みにじりますが、彼女はファウストを許し、ファウストを導く者となります。「ファウスト」の結び(12110-12111行)では神秘の合唱が「永遠の女性が我らを引き上げる」と歌いますが、「永遠の女性」あるいは「女性の魂」とは神の愛の具現である女性原理のことであり、少女マルガレーテは聖母マリアと並ぶその象徴に他なりません。
アレグザンダー・リーツェン=マイヤー(Alexander von Liezen-Mayer または Sandor Liezen-Mayer,
1839-1898)はハンガリーのラアブ(Raab)で生まれ、ミュンヘンに出てピロティ(Karl von Piloty, 1826-1886)に師事しました。肖像画と歴史画を得意とし、またゲーテの「ファウスト」やシェイクスピアに基づく数々の優れた作品を残しています。
参考 Alexander von Liezen-Mayer,
A Stroll in the Churchyard, oil on canvas, 115.5 x 81.6 cm
Alexander von Liezen-Mayer,
Unterzeichnung des Todesurteils der Maria Stuart durch Elisabeth
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