パオロ・ヴェロネーゼ 「エウロペの略奪」 Il ratto d'Europa 初期のスティール・エングレーヴィング H. ファーネルによる作品 1830年代後半

Il ratto d'Europa



原画の作者 パオロ・ヴェロネーゼ (Paolo Veronese 1528 - 1588)

版の作者 H ファーネル (H. Fernell, fl. 1833 - 1845)


画面サイズ  縦 128 mm  横 151 mm



≪原画の作者とこの作品について≫

 ヴェロネーゼ(Paolo Veronese 1528-1588)はイタリア・ルネサンス期のヴェネツィア画派の画家です。ティントレットと同時代の人で、その才能をティツィアーノに認められました。修道院食堂の装飾として多く製作した「カナの婚礼」(1562~63年)などの聖餐図をはじめ、彼の描く絵には美しい光と色彩当時のヴェネツィアの華麗な風俗が描かれ、誰にでも親しめる豪華な作品となっています。

 ヴェロネーゼは晩年の10年間、大火で焼失したパラッツォ・ドゥカーレ(総督宮殿)の装飾をティントレットとともに製作しました。このエングレーヴィングの原画「エウロペの掠奪」(1580 年製作)はパラッツォ・ドゥカーレのサラ・デル・アンティコッレジオという部屋にある作品で、ギリシア神話を題材にしながらも女性たちの風俗は当時のヴェネツィア女性のものであり、円熟期のヴェロネーゼにふさわしい美しい光に包まれた絵になっています。


参考 原画 The Rape of Europe, 1580, Oil on canvas, 240 x 303 cm Sala di Anticollegio, Palazzo Ducale, Venice




≪この版画のテーマについて≫

 エウロペ(ラテン語形はエウロパ)はフェニキア、テュロス王アゲノルの娘で、侍女たちとともに海辺で水遊びをしているところをゼウスに見初められました。ゼウスは白い雄牛の姿になって少女たちに近付き、そんなこととは知らないエウロペを背に乗せたまま地中海を渡ってクレタ島まで泳ぎました。エウロペはクレタ島でゼウスの子を身ごもり、サルペドンとミノス王を生みました。

 この絵のなかでゼウスはおとなしい牛に化けていますが、彼の周りにはエロスがたくさんいて、これから起こる事件を予感させます。画面右側にはエウロペを乗せたまま走り出したゼウスと慌てて後を追う侍女たち、さらに海上には沖に向かって泳ぎ始めたゼウスに乗って助けを求めるエウロペの姿が見えます。

 なお、おうし座(Taurus)はエウロペをさらったときにゼウスが化けた雄牛をかたどっています。


 エウロペの掠奪は他にも大勢の画家が画題に取り上げています。

 Pieter Paul Rubens, The Rape of Europe, c. 1630, Oil on canvas, 181 x 200 cm, Museo del Prado, Madrid

 Guido Reni, The Rape of Europe, before 1640, National Gallery, London

 François Boucher, The Rape of Europe, 1732 - 34, oil on canvas, 231 x 274 cm, Wallace Collection, London


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