アクロポリウム、旧カルタゴ司教座聖堂サン=ルイ
L'Acropolium, L'ancienne cathédrale Saint-Louis de Carthage




(上) La ancienne cathédrale Saint-Louis de Carthage


 旧カルタゴ司教座聖堂サン=ルイはカルタゴ古代遺跡にほど近いビュルサの丘 (Acropole de Byrsa)に建つ聖堂建築です。1956年にチュニジアが独立して以降カトリック教会として使用されなくなり、1993年からはアクロポリウム (Acropolium) と呼ばれる文化施設となっています。


【ローマ時代のカルタゴ】

 カルタゴはチュニスの東北東およそ十キロメートル、チュニス湾に面した場所にあります。現代のカルタゴは人口二万人ほどの小さな町ですが、聖母子像ノートル=ダム・ド・カルタジュ(カルタゴの聖母 後述)が制作された三世紀のカルタゴはアフリカ属州(北アフリカにあるローマ帝国領)の中心都市であり、十万人を超える人口を擁していました。ヒッポのアウグスティヌスは十七歳のとき、弁論術を学ぶためにカルタゴに移り住んでいます。アウグスティヌスはこの頃のことを「告白」("CONFESSIONES")第三巻と第四巻で回想しています。


【司教座聖堂の概要】

 カルタゴ司教座聖堂サン=ルイは、チュニジアがフランスの保護領であった時代(註1)に、1884年から 1890年にかけて建設されました。カルタゴ大司教ラヴィジュリ師(註2)はアルジェ大司教を兼ねていましたので、カルタゴ司教座聖堂はアフリカ主座司教の聖堂でもありました。

 カルタゴ司教座聖堂は東西65メートル、南北30メートルのラテン十字を象った三廊式の聖堂です。ファサードはマルタ島産の石材を用いた薔薇窓があり、両側に四角柱形の鐘塔が二基建っています。それぞれの鐘塔の頂上には小さなドームがあって、四基ずつの小塔がこれを囲んでいます。





 聖堂内部は内陣にアーケードがあり、上部に大ドームを設けます。またアプスにも小ドームを設けています。天井はハンガリー、オランダ、ロシアから輸入した木材でできており、アレッポとヴェネツィアの職人によるアラベスク彫刻で飾られています。天井を支える柱は174本で、大理石でできており、柱頭には金箔が施されています。284面あるステンド・グラスにもアラベスクが採用され、身廊のステンドグラスには司教座聖堂の守護聖人である聖アウグスティヌス及び聖王ルイの像が表されています。

 司教座聖堂の大鐘は六トンの重量があり、ラヴィジュリ師によって「シプリアン=シャルル」(Cyprien-Charles) と名付けられています。カリヨンを構成する四つの鐘は大きい順に「オギュスタン=フュルジャンス」(Augustin-Fulgence)、「ペルペチュ=フェリシテ」(Perpétue-Felicité)、「ルイ=ウジェーヌ」(Louis-Eugene)、「デオグラシア」(Deogratias) と名付けられています。


【ノートル=ダム・ド・カルタジュ カルタゴの聖母】



(上) カルタゴの聖母のメダイ 当店の商品です。


  初代カルタゴ大司教のラヴィジュリ師(Mgr. Charles Martial Allemand Lavigerie, 1825 - 1892)はアフリカのイスラム教徒に宣教を行うために、1868年、アフリカ宣教師会(La Société des MIssionnaires d'Afrique, Les Pères Blancs)を創設しました。ラヴィジュリ師は 1875年、この宣教師会の敷地に、カルタゴの出土品を収蔵・展示する「ラヴィジュリ博物館」(Musée Lavigerie)を創設しました。(註3)

 この博物館に、三世紀に制作された聖母子の浅浮き彫りが収蔵されています。この作品はマギの礼拝の一部を為すものと考えられ、聖母子は天使とふたりの預言者に囲まれています。

 上記の聖母子像に想を得て制作されたのがノートル=ダム・ド・カルタジュ(Notre-Dame de Carthage カルタゴの聖母)です。ノートル=ダム・ド・カルタジュは白大理石の丸彫り像で、もともとカルタゴ司教座聖堂サン=ルイに安置されていましたが、現在はチュニス司教座聖堂に移されています。(註4)



註1 1878年のベルリン会議でチュニジアにおける優先権を得たフランスは、1881年にチュニジアに侵攻して実権を掌握しました。チュニジアが独立したのは 1956年です。

註2 ラヴィジュリ師(Mgr. Charles Martial Allemand Lavigerie, 1825 - 1892)は第二代アルジェ司教であったパヴィ師の後を襲って、1867年から 1892年までアルジェ大司教を務め、1885年にはカルタゴ大司教となった人です。1882年には枢機卿に選ばれています。

註3 ラヴィジュリ博物館は1956年に「国立カルタゴ博物館」(Le Musée national de Carthage)と改称され、現在に至っています。

註4 チュニス司教座聖堂はチュニジア国内で唯一の司教座聖堂です。



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