C. シャルルによる佳作 レースのヴェールを被った美しき聖母 800シルバーのフランス製高級メダイ 直径 18.3 mm
突出部分を除く直径 18.3 mm
フランス 1959年
乙女マリアの清楚な横顔を写した 800シルバー製高級メダイ。美しく整った顔立ちの聖母像で知られるフランスのメダイユ彫刻家、C, シャルルの佳作です。
穏やかな表情の聖母は、レースのヴェールをかぶっています。メダイを含む彫刻においても、絵画においても、マグダラのマリア以外の聖女は常にヴェールを被った姿で表されます。聖女たち、修道女たちのヴェールは、キリストの花嫁の印です。このメダイにおける聖母のヴェールも同様で、聖母が神に選ばれた女性であることを表しています。雅歌4章1節から8節では、恋人あるいは花嫁の美しさが次のように歌われています。
恋人よ、あなたは美しい。あなたは美しく、その目は鳩のよう/ベールの奥にひそんでいる。髪はギレアドの山を駆け下る山羊の群れ。 歯は雌羊の群れ。毛を刈られ/洗い場から上って来る雌羊の群れ。対になってそろい、連れあいを失ったものはない。 唇は紅の糸。言葉がこぼれるときにはとりわけ愛らしい。ベールの陰のこめかみはざくろの花。 首はみごとに積み上げられたダビデの塔。千の盾、勇士の小盾が掛けられている。 乳房は二匹の小鹿。ゆりに囲まれ草をはむ双子のかもしか。 夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前に/ミルラの山に登ろう、乳香の丘にわたしは登ろう。 恋人よ、あなたはなにもかも美しく/傷はひとつもない。 花嫁よ、レバノンからおいで/おいで、レバノンから出ておいで。アマナの頂から、セニル、ヘルモンの頂から/獅子の隠れが、豹の住む山から下りておいで。 |
メダイの下部に彫刻家の署名 (C. Charl) と銀製品工房の刻印 (AP) があります。また上部の環にもいくつかの刻印、マークと、「フランス」(FRANCE)
の文字があります。
裏面には「マドレーヌ」「ルルド、1959年」(Madeleine, Lourdes 1959) と刻まれており、このメダイがルルド巡礼の記念品であることがわかります。上部の環には 800シルバー製であることを示すフランスのホールマーク(蟹)が刻印されています。
このメダイは20世紀に制作された聖母のメダイのなかでもとりわけ美しい作品のひとつで、19世紀フランスで開花したメダイユ芸術の優れた継承者、C. シャルルによる芸術品といえます。古い物であるにもかかわらず、メダイに摩耗はまったく見られず、細部まで完全なコンディションで残っています。真正のヴィンテージ品ならではのパティナ(古色)がメダイ全体を均一に被っており、芸術品としての風格に、良質のアンティーク品としての気品が加わっています。