白と二色の青のエマイユ アール・デコ様式のメダイ 薔薇の聖母 18.0 x 12.4 mm


突出部分を含むサイズ 縦 18.0 x 横 12.4 mm

フランス  1940年代



 聖母の横顔を浮き彫りにしたアール・デコ様式のブロンズまたは真鍮製メダイ。1940年代に制作されたメダイですが、左右対称に配置した幾何学図形で表面を区切ったデザインは、まさにアール・デコ様式そのものです。





 中央の大きな画面には、年若い少女マリアの横顔を浮き彫りにし、明るい青のエマイユを掛けています。空の色である青は天上を象徴するとともに、ブリュ・マリアル(仏 bleu marial)、マリアン・ブルー(英 Marian blue)と呼ばれて、聖母マリアを象徴する色ともされています。

 マリアは眼を開いて、その視線はまっすぐに前を向いています。天使ガブリエルに受胎を告知された際、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」(ルカ 1:38)と答えて、将来の全てを神に委ねた少女の姿です。

 マリアの背景は、中心から放射するアール・デコ様式の光条で覆われています。優しい丸みを帯びた少女の顔と、直線的光条が放つ硬質の輝きの対比が、鮮やかな視覚的効果を生み出しています。

 マリアの下、逆台形の小さな画面には、マリアの象徴である薔薇が浮き彫りにされ、明るい青のエマイユが掛けられています。マリアと薔薇を取り巻いて、不透明の白いエマイユが幅広に施され、最上部の小さな逆台形部分、及び両横の逆三角形部分のみ、濃い青の透明エマイユが掛けられています。変形六角形のシルエットを持つこのメダイを、少し離れたところから眺めると、白い衣を着て青いマントをまとった聖母の姿が自然と心に浮かびます。


(下) 参考画像 Francisco de Zurbarán, la Inmaculada Concepción, 1661, oil on canvas, 102.5 x 136.5 cm, Museum of Fine Arts, Budapest




 青と白の衣は、もともとポルトガルの聖女、ベアトリス・ダ・シルヴァ (Beatrix da Silva, 1424 - 1492) が幻視した聖母が身に着けていたものです。聖母の出現を受けて修道会創設を決意した聖ベアトリスは、1484年、トレドで女子修道会「無原罪の御宿り修道会」(La Orden de la Inmaculada Concepción, ORDO IMMACULATAE CONCEPTIONIS, OIC) を設けました。


 本品は数十年前のものですが、破損やエマイユの剥落も無く、たいへん良いコンディションです。エマイユを施したメダイのなかでも、3色のガラスを使用したものは特に稀少で、たいへん美しい聖品に仕上がっています。





本体価格 16,800円 販売終了 SOLD

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