帆も舵も無い小舟に乗り、パレスティナを脱出してカマルグに上陸したふたりの聖マリア(マリア・ヤコベとマリア・サロメ)のメダイ。小舟には上記のふたりに加えてマグダラのマリアも乗っていましたが、他に同乗していた聖人たちの名前と人数は伝承によって異なります。
メダイ表(おもて)面の浮き彫りは、聖女たちがプロヴァンスに到着したシーンです。櫂を手に小舟に座る天使の右にふたりの聖マリア、すなわちマリア・ヤコベとマリア・サロメが立っています。画面の右端では、立派な服装をしたマルセイユの領主が岸辺にひざまずいて聖女たちを迎えています。子供を異教の神の生贄に捧げようとしたこの領主は、マグダラのマリアに導かれてキリスト教に改宗しました。画面の下には、フランス語で次の言葉が刻まれています。
Les Saintes Maries de la Mer サント=マリ=ド=ラ=メール (地名及び聖堂の名前。本来の意味は「海の聖マリア」)
Arrivée des Saintes Maries en Provence プロヴァンスに到着したふたりの聖マリア
メダイの裏面には聖女たちの聖遺物が見つかった聖堂、サント=マリ=ド=ラ=メール (Saintes-Maries-de-la-Mer) が浮き彫りで表され、周囲にはフランス語で「サント=マリ=ド=ラ=メールのバシリカ」(Basilique
des Saintes Maries de la Mer) と刻まれています。