ラ=サント=ボームの荒野で禁欲の生活を送るマグダラのマリアのメダイ。
表(おもて)面、裏面ともクラシカルなゴシックのデザインで、四つ葉形と正方形を合わせた形で縁どられています。背景に散りばめられているのは、フランスの象徴、フルール・ド・リス(百合の花)でしょう。ゴシックは
12世紀の「フランス」(すなわち、カペー家の支配地域)において生まれた様式ですから、これと「フルール・ド・リス」の組み合わせはフランスそのものの香りがします。
表(おもて)面の聖女は顔を斜め上に向けて天を仰ぎ、胸の前に両手を合わせて祈っています。聖女の周囲には、マグダラのマリアの象徴である祈祷書と髑髏(どくろ)、十字架、ナルドの香油が入った壺が見えます。
メダイの裏面には次の言葉がフランス語で記されています。
Souvenir de la Sainte Baume ラ=サント=ボーム巡礼記念
ここでいう「ラ=サント=ボーム」とは、サン=マクシマン=ラ=サント=ボームにあるマグダラのマリアのバシリカ (Basilique Sainte-Marie-Madeleine) のことです。メダイの材質はアルミニウムです。アルミニウムは 19世紀から20世紀初頭にかけて、メダイの材料によく使われました。およそ百年前のメダイであるにもかかわらず破損も無く、良いコンディションです。