アレト=ジャンヌ=アントワネット・グスマン作 神の小羊を抱く幼児ヨハネ 直径 16.1 mm


突出部分を除く直径 16.1 mm

フランス  20世紀前半または中頃



 フランスの女性彫刻家アレト・グスマン (Aleth-Jeanne-Antoinette Guzman, 1904 - 1978) による洗礼者ヨハネのメダイ。マタイ、マルコ両福音書の記述に従ってらくだの毛衣を着たヨハネは、この作品では幼児として表され、愛らしい小羊を両腕で愛しげに胸の内に掻き抱いています。小羊は十字架を携えており、ただの小羊ではなく、神の小羊すなわち幼子イエズスであることがわかります。


(下・参考図像) ラファエロ「美しき女庭師」あるいは「幼児ヨハネと聖母子」 Raphael Sanzio, "La Belle Jardinière", 1505 - 08, huile sur panneau, 12 x 80 cm, Musée du Louvre




 ラファエロによる上の作品もそうですが、幼児ヨハネと幼子イエズスは仲の良い兄弟のような姿で描かれることがよくあります。本品もそのようなイコノグラフィー(図像学)の伝統に拠る作品ですが、アレト・グスマンはこの小さなメダイにおいてヨハネのみを人間の幼児として表しています。

 小羊すなわちイエズスを胸の内に抱きながらも、ヨハネは遠くを見ており、小羊の愛と、愛ゆえに小羊の身に起こる受難を想っていることがうかがえます。アレト・グスマンはキリストよりもむしろヨハネをこのメダイの主役とし、悲しみと同時にイエズスへの愛をその横顔に籠めることにより、神への愛と感謝の形象化に成功しています。

 アレト=ジャンヌ=アントワネット・グスマン (Aleth-Jeanne-Antoinette Guzman, 1904 - 1978) は最初音楽を志しましたが、地元ディジョンでオヴィド・ヤンセスの指導を受け、1927年のローマ賞メダイユ彫刻部門プルミエ・グランプリを女性として初めて獲得し、メダイユ彫刻家としての才能を見事に開花させた人です。オヴィド・ヤンセスは母と子に通い合う愛情を繊細なタッチで表現しましたが、アレト・グスマンはヤンセスの弟子に相応しく、小さなサイズの本品を、愛そのものの結晶化ともいえる美しい作品に仕上げています。


 アレト・グスマン 1929年頃の写真


 本品は数十年前に制作されたヴィンテージ品ですが、アレト・グスマンによるこの作品は、現代のフランスでも小さな金のメダイが日本円にして 50,000円ほどで売られています。子供の誕生記念品としても人気がある美しい小品です。





本体価格 8,800円 販売終了 SOLD

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